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桜の健康診断結果 この11年間で悪化傾向

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2023/06/28 10:23 ウェザーニュース

ウェザーニュースでは毎年、美しい姿で私たちを楽しませてくれる桜を見守り、桜を大切にする気持ちを広く育むことを目的として「桜の健康診断」を実施しています。

桜の健康診断では、ウェザーニュースアプリのユーザーに、6つの調査項目に回答してもらいました。その結果から健康度を指数化し「優良(+)」から「生育不良(-)」の12段階で判定しています。調査の結果、桜の健康度は年々悪化傾向となっていることが明らかになりました。
◆「桜の健康診断」の概要
・エリア:46都道府県(沖縄除く)
・調査期間:2/16~5/31
・参加人数:3,421人
・質問項目:6つ(「日当たり」、「樹形」、「花の咲き方」、「幹の状態」、「樹皮の状態」、「花数」)

「優良」の割合が減少

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桜の健康度 12段階評価
2013年からの全国平均の桜の健康度は、悪化傾向になっています。2022年に初めて「優良」から「正常」にランクダウンし、2023年もさらに健康度を下げる結果となりました。

桜の健康度を12段階に分類し昨年と比較してみると、「優良(+)」と「優良(–)」それぞれが昨年より1ポイント減少し、その分「正常(+)」と「正常」がそれぞれ増加していました。優良ランクの桜の割合が減った事で、全体の健康度が低下したものと考えられます。

都道府県ごとの桜の健康度の平均値

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都道府県ごとの健康度
※報告が一定数に満たないエリアは灰色で表示しています。

都道府県ごとに健康度を12段階評価の平均値でみると、2023年も2022年と同様に「優良」ランクの都道府県がありませんでした。「優良(–)」の都道府県は5地点減少し、その分「正常(+)」が増加していました。滋賀県と島根県は「正常」ランクでした。

1位常連の徳島県が2位に

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都道府県ごとの健康度ランキング
健康度ランキングを見ると、健康度常連1位で2021年・2022年共に健康度が1位だった徳島県が、今年は2位に順位を落としていました。2023年は上位から宮崎県、徳島県、香川県、福岡県、熊本県という結果になりました。

6つの質問項目の結果を見ていきます。

1.「日当たり」に注目

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日あたりについて、「一日中よくあたる」「半日以上あたる」「半日もあたらない」「ほとんどあたらない」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、最も割合の高かった「一日中よくあたる」の割合は、2022年より1ポイント減って59%でした。

2.「樹形」に注目

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樹形(樹の立ち姿)について、「自然樹形を保っている」「自然樹形に近い」「樹形が崩れてきている」「自然樹形がほとんど崩れている」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、2013年からの長い目で見ると「自然樹形を保っている」「自然樹形に近い」の割合は減少傾向、「崩れてきている」の割合が増加傾向となっています。2022年よりは「自然樹形に近い」が1ポイント増え、去年からの悪化傾向は見られませんでした。

3.「花の咲き方」に注目

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花の咲き方について、「木全体にまんべんなく花が咲いている」「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の3項目から選択してもらいました。

集計の結果、「木全体にまんべんなく花が咲いている」の割合が今までで一番少なく、「所々咲いていない枝がある」の割合が増加していました。

4.「幹の状態」に注目

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幹の状態について、「穴や切られたアト、窪みは無い」「穴や切られたアト、窪みなどが少しある」「穴や切られたアト、窪みなどがかなり目立ち、もしくはキノコが生えている」「大きく切られたり、もしくはキノコが生えている」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、穴や切られたアト、窪み、キノコなどがある不健康な状態の回答が8年続けて5割を超えています。

健康そうに見える幹でも、キノコが生えているものは中が腐っている可能性があり、専門家による診断が必要になります。

5.「樹皮の状態」に注目

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樹皮の状態について、「生き生きしていて光沢がある/盛り上がるような部分があり、縦に割れている」「傷などほとんどない」「苔などが残っていたり、樹皮がはがれてカサカサしている」「苔に覆われた部分が多い。または、樹皮の損傷が激しい」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、「生き生きしていて光沢がある/盛り上がるような部分があり、縦に割れている」の割合が2022年より1ポイント増えていましたが、大きな変化はありませんでした。

苔はあまり害にならないといわれますが、樹皮がはがれてカサカサしていたり損傷が激しい場合、土の中の通気性が悪く、桜の生長が止まっている可能性があります。

6.「花数」に注目

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一つのつぼみについている花の数について、「5個以上」「3~4個」「2個」「1個」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、「5個以上」の割合が2021年・2022年につづき減少し、「2個」「1個」の合計の割合が過去2番目に多い結果となりました。

花数が段々と減っている可能性があり、健康状態の悪い桜が増えているのかもしれません。

樹木医 和田博幸さんは結果をどうみる

この結果を受けて、公益財団法人日本花の会の樹木医、和田博幸さんに解説して頂きました。

「健康度は全般的に緩やかに下降傾向にあります。ソメイヨシノの寿命は60年と言われています。年を経て、樹齢が30年から40年になったものは健康度が徐々に衰えるというのは当然なことですが、これに加えて厳しい気候の温暖化と乾燥化が悪く影響している可能性が、今回のデータから見えてきます。特に東北地方や北海道で健康度が低くなる傾向になっているので、今後もこの地域は注視する必要があるかもしれません。皆様には引き続き桜の観察をお願いします。」(和田さんより)

健康度が低下しても、1~2年単位ではほとんど気づきません。ただ低下傾向が5年も続くと太枝が2、3本は枯れるリスクがあります。そうすると、花の咲き方が寂しい桜となってしまいます。

ソメイヨシノは戦後に多く植えられたため、当時植えられたものはすでに寿命を過ぎています。弱った桜や病気の桜が増えるのは自然のことですが、私たちは桜に対して、病気の治療や土のマッサージなど手当てを行うことで寿命を延ばすことができます。

来年も皆さんと一緒に桜の健康状態の変化を追いながら、桜を大切にする輪を広げていきたいと思います。
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