線状降水帯とは
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。(気象庁HP「顕著な大雨に関する情報」より引用)
大規模な土砂災害や河川の氾濫等を引き起こす危険な現象ですが、その発生メカニズムが複雑で様々なパターンがあることや、局地的な現象であるため、事前のピンポイントな予測が難しい現象です。
大規模な土砂災害や河川の氾濫等を引き起こす危険な現象ですが、その発生メカニズムが複雑で様々なパターンがあることや、局地的な現象であるため、事前のピンポイントな予測が難しい現象です。
球磨川が氾濫した令和2年7月豪雨との比較
ウェザーニュースの速報解析では、今回の大雨で1時間以上継続する線状降水帯を検出した回数は、全国であわせて14回でした。一方、球磨川の氾濫で大きな被害をもたらした、昨年の「令和2年7月豪雨」では、同条件で17回の線状降水帯が検出されていました。
「72時間降水量」などの長時間の指標では今月の大雨のほうが記録を上回っているものの、線状降水帯の発生回数では昨年のほうが若干多かったことになります。
「72時間降水量」などの長時間の指標では今月の大雨のほうが記録を上回っているものの、線状降水帯の発生回数では昨年のほうが若干多かったことになります。
最長継続時間は球磨川水害時の半分以下
検出された線状降水帯の中で、最も継続時間の長かったものを比べると、今回は佐賀県などに停滞した線状降水帯の継続時間が5時間10分で最長でしたが、昨年の令和2年7月豪雨では球磨川流域周辺で線状降水帯が14時間10分も連続で検出されていました。
線状降水帯が長時間出現するためには環境条件や相応のエネルギーが必要です。大きなエネルギーが狭い範囲に集中するぶん災害の危険性は高くなるといえます。
線状降水帯が長時間出現するためには環境条件や相応のエネルギーが必要です。大きなエネルギーが狭い範囲に集中するぶん災害の危険性は高くなるといえます。
総雨量の割に被害が小さかった可能性
ウェザーニュース予報センターによる速報的な解析では、今月の事例では、日本に流れ込んだ雨のもととなる水蒸気の量は非常に多かったものの、その水蒸気を送り込む風が弱かった分だけ雨雲の発達が抑えられ、線状降水帯の発生が少なく継続時間も短かった可能性があるとみています。
今回の大雨では土砂災害や河川の氾濫が広範囲で発生したことは令和2年7月豪雨と変わらないものの、線状降水帯などによる集中豪雨が限定的だったことで急速な災害リスク上昇が抑えられたことや、入念な事前避難の呼びかけ等が被害の拡大を防いだ可能性があります。
今回の大雨では土砂災害や河川の氾濫が広範囲で発生したことは令和2年7月豪雨と変わらないものの、線状降水帯などによる集中豪雨が限定的だったことで急速な災害リスク上昇が抑えられたことや、入念な事前避難の呼びかけ等が被害の拡大を防いだ可能性があります。
事前の予測が難しい現象
線状降水帯は、その発生メカニズムが複雑で様々なパターンがあることや、局地的な現象であるため、現代の技術ではピンポイントな発生予測が難しい現象といえます。
線状降水帯の解析方法としていくつかの定義が考案されていますが、いずれも検出された時には「既に危険な状態になっている」ことが共通していて、災害を未然に防ぐのに活かすのは難しいと考えられます。
今年から気象庁が発表を開始した「顕著な大雨に関する情報」も、過去3時間分の降水量をもとに線状降水帯が判定されているため、発表される頃には既に危険な状況になっているか、場合によっては既にピークを越えていることもあります。
ウェザーニュースでは独自の定義を考案し、線状降水帯が形成され始めた段階から検出が出来るシステムを運用中です。命を守る行動の判断の一助に、ぜひご活用ください。
» 線状降水帯解析・気象予報士解説〔会員向け〕
線状降水帯の解析方法としていくつかの定義が考案されていますが、いずれも検出された時には「既に危険な状態になっている」ことが共通していて、災害を未然に防ぐのに活かすのは難しいと考えられます。
今年から気象庁が発表を開始した「顕著な大雨に関する情報」も、過去3時間分の降水量をもとに線状降水帯が判定されているため、発表される頃には既に危険な状況になっているか、場合によっては既にピークを越えていることもあります。
ウェザーニュースでは独自の定義を考案し、線状降水帯が形成され始めた段階から検出が出来るシステムを運用中です。命を守る行動の判断の一助に、ぜひご活用ください。
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参考資料など
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)佐賀県武雄市からの投稿