台風8号、東北地方を通過中
局地的な激しい雨に注意
2021/07/28 10:31 ウェザーニュース
7月28日(水)9時現在、台風8号(ニパルタック)は岩手県盛岡市の南、約70km付近を北北西に進んでいます。台風の強風域には東北地方が入っています。
この台風はこの後、温帯低気圧に性質を変えながら、12時間後の21時には、秋田県の西の海上へと達する見通しです。
今回の台風は中心から離れた所でも雨や風の強まっているところがあるため、進路だけにとらわれず、雨雲レーダーなどで最新の状況を確認してください。
▼台風8号 7月28日(水)9時
存在地域 盛岡市の南 約70km
大きさ階級 //
強さ階級 //
移動 北北西 25 km/h
中心気圧 994 hPa
最大風速 18 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 25 m/s
24時間で100mmを超える雨を観測
24時間降水量 28日(水)10時まで
この台風の影響で、東北地方の太平洋側では雨の量が多くなっており、午前9時20分までの24時間に岩手県陸前高田市で101mm、福島県南相馬市・浪江町で100mmの雨量を観測しており、周辺では土砂災害の危険度が高まっているところもあります。
太平洋側の沿岸部での雨のピークは既に過ぎていますが、雨が止んでもしばらくは急な斜面には近づかないでください。
また、風も強まっていて、最大瞬間風速は岩手県宮古で18.8m/s、小本で17.9m/sを観測しています。
日本海側の地域は午後にかけて強い雨風に注意
雨の予想 28日(水)14時
このあと日本海側では、台風の最接近に伴って、午後にかけて雨や風が強まることがあります。
強い所では、一時的に1時間に30mm前後の強い雨が降る可能性もあるので、道路の冠水、用水路や中小河川の増水などに注意してください。
午後以降も台風の中心から離れたところで雨や風が強まるところがあるため、進路だけにとらわれず、雨雲レーダーなどで最新状況を確認するようにしてください。
局地的には150mm前後の大雨のおそれ
台風の中心から少し離れた所に活発な雨雲の帯が形成されています。東北地方では台風の接近前から雨が降っていて、福島県内では24時間雨量が100mmを超えているところがあります。
台風の接近に伴い、非常に湿った空気が東から吹き込むため、特に山の東側斜面では雨雲が発達しやすく、宮城県や岩手県などでは総雨量が150mm前後に達するおそれがあります。
これらの地域は西日本などの多雨地域と比べると、川の許容流量や地盤の強化状況などが違うため、相対的には少ない雨量でも、洪水や浸水、土砂災害などの被害が発生するおそれがあります。
増水した川や水路等に近づくと危険ですので、様子を見に行ったりしないでください。また、冠水した道路等では側溝などとの境目がわかりづらくなり、車や人が転落して流されるおそれがありますので、荒天の最中はむやみな外出はおやめください。
風も強まり、交通機関に影響も
台風8号はこのあとも顕著な発達は予想されず、暴風域を伴わずに接近してくる予想です。大規模な停電などの被害が発生する可能性は低いとみられますが、倒木などによる局地的な停電が発生するおそれがあります。
また、東北地方ではJRがすでに一部の運転取りやめを発表するなど、交通機関に影響が出ています。移動の予定がある方は、最新情報をホームページなどで確認して、予定の変更を検討することもおすすめします。
強い風が吹いている間は、飛来物などに十分注意してください。
珍しい進路の台風 宮城県に上陸すると統計史上初
台風といえば日本付近では西から東に進むことが多いイメージですが、台風8号は東日本に東側から接近してきました。北上を阻む太平洋高気圧の存在と、寒気のかたまり「寒冷渦」による風の流れが影響しています。
本州付近に東から接近してくる台風は多くなく、近年では、岩手県に統計史上初めて上陸した2016年の台風10号や、三重県に上陸して西日本を東から西に縦断した2018年の台風12号などがあります。
もし、台風8号が宮城県に上陸した場合、統計記録が残る1951年以降では初めてのこととなります。岩手県に上陸した場合は5年ぶりで統計史上2回目のことになります。
今月3つめの台風発生
台風が発生するのは、19日(月)に発生した台風7号以来で、今年7月の3つめの台風発生です。今週になって台風発生が相次いでいます。
7月の台風発生数の平年値は3.7個で、例年台風の発生が一気に増えてくる頃です。夏の台風はジェット気流の影響を受けづらく迷走することが多いため、進路の情報にはいっそうの注意が必要です。
台風の名前
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風8号の名前「ニパルタック(Nepartak)」はミクロネシアが提案した名称で、有名な戦士の名前からとられています。