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台風8号の進路、なぜ東から接近? 太平洋高気圧と寒冷渦が作用

2021/07/26 14:50 ウェザーニュース

26日(月)12時現在、台風8号(ニパルタック)は日本の東を北西に進んでいます。

台風といえば日本付近では西から東に進むことが多いイメージですが、なぜ今回の台風は東から近づいてくるのでしょうか。それは、進路を阻む太平洋高気圧の存在と、台風とは真逆の寒気のかたまり「寒冷渦」の存在が関係しています。
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太平洋高気圧が日本の東で勢力を強める

日本付近の台風の進路は、本州の南に勢力をもつ太平洋高気圧の縁を沿うように、南西から北東に進むことが多くなります。

しかし現在は、太平洋高気圧は日本の東で勢力を強めている状況です。

本州の南には「寒冷渦」

一方、本州の南には現在、上空に寒気を持つ低気圧「寒冷渦」があります。衛星水蒸気画像でみると「暗域」と呼ばれる黒っぽい部分が渦を巻いているのがわかります。暖かい空気のコアがある台風とは逆で、中心に寒気のコアがある低気圧です。

この寒冷渦は低気圧ですので反時計回りに回転しているため、台風8号は寒冷渦周辺を吹く風に流されて、北西方向へと進んでいくと予想されているわけです。

茨城 福島 宮城に上陸すれば統計史上初

九州以南の緯度では東から近づいてくる台風も時々ありますが、8号のように東日本に東側から近づく台風は比較的珍しいと言えます。

近年では、岩手県に統計史上初めて上陸した2016年の台風10号や、三重県に上陸して西日本を東から西に縦断した2018年の台風12号などがあります。

もし、台風8号が茨城県、福島県、宮城県に上陸した場合、統計記録が残る1951年以降では初めてのこととなります。

大雨に慣れない地域 洪水などに要注意

台風を取り巻く雲は活発で、今日26日(月)から28日(水)にかけての総雨量は多くなる予想です。関東地方や東北地方太平洋側では、総雨量が100mm以上となり、場合によっては200mmを超える可能性があります。

これら地域は西日本などの多雨地域と比べると、川の許容流量や地盤の強化状況などが違うため、少ない雨量でも洪水などの被害が発生するおそれがあります。

増水した川や水路等に近づくと危険ですので、様子を見に行ったりしないでください。また、冠水した道路等では側溝などとの境目がわかりづらくなり、車や人が転落して流されるおそれがありますので、荒天の最中はむやみな外出はおやめください。
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