噴煙は7000m以上に到達
新燃岳(標高1421m)では、マグマで熱せられた地下水により発生する「水蒸気噴火」がたびたび起こっていましたが、マグマその物が地表に出る噴火は1700年代から約300年間発生していませんでした。
1月26日は朝から白色の噴煙が立ちのぼる噴火が続いていましたが、14時50分すぎから噴煙の様子が急変して、晴れていた空が黒色の火山灰雲に覆われました。準プリニー式噴火の始まりです。ウェザーニュースの携帯サイトユーザーからは続々と噴煙の写真が寄せられ、ただならぬことが起こっているという状況がわかりました。
ウェザーニュースが独自に設置している気象レーダー(WITHレーダー)では、噴煙が海抜7500m程度にまで上がっている様子がわかりました。気象庁からは、噴煙の高さは火口上1500m(海抜約3000m)との発表がありましたが、寄せられた写真と比較してもそれが過小評価であると判断でき、航空会社等への支援に活用されました。
1月26日は朝から白色の噴煙が立ちのぼる噴火が続いていましたが、14時50分すぎから噴煙の様子が急変して、晴れていた空が黒色の火山灰雲に覆われました。準プリニー式噴火の始まりです。ウェザーニュースの携帯サイトユーザーからは続々と噴煙の写真が寄せられ、ただならぬことが起こっているという状況がわかりました。
ウェザーニュースが独自に設置している気象レーダー(WITHレーダー)では、噴煙が海抜7500m程度にまで上がっている様子がわかりました。気象庁からは、噴煙の高さは火口上1500m(海抜約3000m)との発表がありましたが、寄せられた写真と比較してもそれが過小評価であると判断でき、航空会社等への支援に活用されました。
危険なプリニー式噴火とは
マグマ噴火の中でも、噴火の形態はいくつかの種類に分けられます。同じ火山でも噴火の形態が変わることがあるので、火山ごとにタイプを分けることは出来ません。
日本の火山で多く発生するのは「ブルカノ式噴火」で、爆発的な噴火により音や空振を伴うかわりに、一度の噴火が数分程度で収まることが特徴です。年に数十回〜数百回発生する桜島の爆発などはこのタイプです。「灰噴火」と呼ばれる形態もあり、こちらは長期間にわたり火山灰を噴出し続けます。阿蘇山の連続噴火などがこれにあたります。
世界規模で見ても数年に一度しか起こらない「プリニー式噴火」は発生頻度が低いかわりに非常に危険な形態で、大きな柱のような噴煙が数時間〜数日にわたって勢いよく立ちのぼり、噴出物には軽石が含まれ、火砕流や連続的な空振を伴うこともあります。
文字で見聞きするとブルカノ式噴火の「爆発」のほうが危険に感じられるかもしれませんが、広範囲に殺傷を及ぼすような危険性が高いのはこのプリニー式噴火と言えます。
2011年の新燃岳噴火では、プリニー式の中では規模が小さい部類でした(準プリニー式とも呼ばれます)。記事冒頭の写真では噴煙が風に流されている様子がわかりますが、規模の大きなプリニー式噴火では膨大な熱エネルギーによって噴煙は風を無視してまっすぐに立ちあがります。噴煙柱が自らを支えきれないほど重たくなると、崩壊して大規模な火砕流が発生し、都市を壊滅させることもあります(イタリアのポンペイなど)。
幸いにも2011年の新燃岳噴火では死者は出ませんでしたが、大量の火山灰が宮崎県を中心に降り積もり、生活や農業等に大きな影響が出ました。不気味な連続空振に恐怖を覚えた方も多いといいます。
日本の火山で多く発生するのは「ブルカノ式噴火」で、爆発的な噴火により音や空振を伴うかわりに、一度の噴火が数分程度で収まることが特徴です。年に数十回〜数百回発生する桜島の爆発などはこのタイプです。「灰噴火」と呼ばれる形態もあり、こちらは長期間にわたり火山灰を噴出し続けます。阿蘇山の連続噴火などがこれにあたります。
世界規模で見ても数年に一度しか起こらない「プリニー式噴火」は発生頻度が低いかわりに非常に危険な形態で、大きな柱のような噴煙が数時間〜数日にわたって勢いよく立ちのぼり、噴出物には軽石が含まれ、火砕流や連続的な空振を伴うこともあります。
文字で見聞きするとブルカノ式噴火の「爆発」のほうが危険に感じられるかもしれませんが、広範囲に殺傷を及ぼすような危険性が高いのはこのプリニー式噴火と言えます。
2011年の新燃岳噴火では、プリニー式の中では規模が小さい部類でした(準プリニー式とも呼ばれます)。記事冒頭の写真では噴煙が風に流されている様子がわかりますが、規模の大きなプリニー式噴火では膨大な熱エネルギーによって噴煙は風を無視してまっすぐに立ちあがります。噴煙柱が自らを支えきれないほど重たくなると、崩壊して大規模な火砕流が発生し、都市を壊滅させることもあります(イタリアのポンペイなど)。
幸いにも2011年の新燃岳噴火では死者は出ませんでしたが、大量の火山灰が宮崎県を中心に降り積もり、生活や農業等に大きな影響が出ました。不気味な連続空振に恐怖を覚えた方も多いといいます。
その後、そして今の新燃岳は
新燃岳の噴火は翌27日にはブルカノ式の爆発を伴うものに変化し、九州の広い範囲で空振を観測しました。窓ガラスが割れるなどの被害があり、負傷者が出ています。2月になると噴火は間欠的になり、9月を最後に噴火は一旦おさまりました。なお、3月に起こった東日本大震災の影響で、新燃岳に関する報道は大幅に減少しました。
新燃岳火口には新燃池と呼ばれるエメラルドグリーンの火口湖がありましたが、2011年噴火で消滅しました。
その後数年間は活動が落ち着いていましたが、2017年頃から再び活動が活発化し、噴煙を上げる噴火が発生するとともに、2018年3月には火口内に溶岩がたまり始めました。一部は火口縁から火口外へ舌状に垂れ下がりましたが、麓にまでは到達せず流出が止まりました。
2021年1月現在は、この2018年の溶岩がホットケーキのように火口を埋め尽くしている様子が監視カメラから確認出来ます。この溶岩の隙間や、西側斜面の割れ目付近から白色の噴気が立ちのぼっています。
新燃岳では火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続して発表されています。火山性地震の回数は増減を繰り返していて、噴火はいつ発生するかわからない状況です。新燃岳への登山はもちろん出来ず、周辺の獅子戸岳なども規制範囲内となるため登山道が立入規制されています。
ごく小規模な噴火であっても、御嶽山噴火や草津白根山噴火などのように死傷者が出る場合があります。規制範囲外であったとしても、火山の周辺に近づく際はリスクをしっかりと把握した上で、ヘルメット等の装備をして行動するようにしてください。
» ウェザーニュース 火山情報
新燃岳火口には新燃池と呼ばれるエメラルドグリーンの火口湖がありましたが、2011年噴火で消滅しました。
その後数年間は活動が落ち着いていましたが、2017年頃から再び活動が活発化し、噴煙を上げる噴火が発生するとともに、2018年3月には火口内に溶岩がたまり始めました。一部は火口縁から火口外へ舌状に垂れ下がりましたが、麓にまでは到達せず流出が止まりました。
2021年1月現在は、この2018年の溶岩がホットケーキのように火口を埋め尽くしている様子が監視カメラから確認出来ます。この溶岩の隙間や、西側斜面の割れ目付近から白色の噴気が立ちのぼっています。
新燃岳では火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続して発表されています。火山性地震の回数は増減を繰り返していて、噴火はいつ発生するかわからない状況です。新燃岳への登山はもちろん出来ず、周辺の獅子戸岳なども規制範囲内となるため登山道が立入規制されています。
ごく小規模な噴火であっても、御嶽山噴火や草津白根山噴火などのように死傷者が出る場合があります。規制範囲外であったとしても、火山の周辺に近づく際はリスクをしっかりと把握した上で、ヘルメット等の装備をして行動するようにしてください。
» ウェザーニュース 火山情報
参考資料など
記事冒頭写真:当時のウェザーリポート(ウェザーニュース携帯サイトからの投稿) acco さん
気象庁 験震時報第77巻「2011年霧島山新燃岳の噴火活動」
仙台管区気象台 防災授業の支援教材ページ
ウェザーニュース 霧島・新燃岳火山情報 https://weathernews.jp/kirishima/20110126.html
ほか、気象庁HPより
気象庁 験震時報第77巻「2011年霧島山新燃岳の噴火活動」
仙台管区気象台 防災授業の支援教材ページ
ウェザーニュース 霧島・新燃岳火山情報 https://weathernews.jp/kirishima/20110126.html
ほか、気象庁HPより