台風11号(ノウル)発生
進路は西寄りで、日本への影響はなし
2020/09/16 04:44 ウェザーニュース
9月16日(水)3時、南シナ海で発達中の熱帯低気圧が台風11号(ノウル)になりました。
▼台風11号 9月16日(水)3時
存在地域 南シナ海
大きさ階級 //
強さ階級 //
移動 西北西 15 km/h
中心気圧 1000 hPa
最大風速 18 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 25 m/s
台風11号はこの先やや発達しながら南シナ海を西寄りに進み、18日(金)から19日(土)頃にベトナムに上陸する可能性が高まっています。ベトナム、ラオスでは大雨や暴風に警戒が必要です。日本への影響はありません。
海水温高く発達続ける予想
今年は海面水温が高い海域がかなり北に広がっていて、本州沿岸でも海面水温が30℃近い異例の暖かさとなっています。一般的に、海面水温が28℃程度以上では台風が発達しやすく、台風10号は勢力を強めながら北上する見込みです。
さらに、上空の風が弱いなどの条件が重なると、日本に上陸直前になっても普通の台風のようには勢力を落とさない可能性があり、場合によっては発達最盛期の状態で接近・上陸ということも考えられます。
▼予報 4日後 9月5日(土)21時
存在地域 南大東島近海
強さ階級 非常に強い
移動 北北西 20 km/h
中心気圧 940 hPa
最大風速 45 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 65 m/s
進路はまだ正確に予想しきれず
台風10号は予報円が大きくなっていますが、これは台風の大きさや強さを示しているわけではなく、進路の不確実さを表しています。
ヨーロッパやアメリカなど世界各地の気象機関が計算したシミュレーション結果で位置を比較すると、近畿地方を指向するものから沖縄・奄美を指向するものまで、台風10号のとりうる進路には大きな幅があることがわかります。
進路次第で各地への影響が大きく変わるため、あらゆる可能性を考慮して、各地にとっての最悪のケースに備えることが重要です。
統計開始以来最強クラスで接近か
今日1日(火)時点での予測では「非常に強い」勢力で沿岸にまで達することを示唆するシミュレーション結果が多くなっています。
中心気圧は930hPa程度で日本の沿岸に近づく可能性があり、もしもそうなると「第2室戸台風(上陸時925hPa)」、「伊勢湾台風(上陸時929hPa)」といった激甚災害をもたらした台風に匹敵することになります。
なお、近年で最も強い勢力で日本に上陸した2018年台風21号は、上陸時の中心気圧は950hPaでした。この台風の襲来時には、大阪市など関西の市街地で最大瞬間風速50m/s前後の暴風に見舞われ、屋根が飛んだり車が横転するなどの甚大な暴風被害が発生。記録的な高潮によって関西国際空港が水没したり、神戸市の臨海部が浸水する被害も発生しました。
飛ばされやすい物を片付けるなどの対策や必要な備品などの購入は、早い段階で行うことをおすすめします。ただし、商品の数には限りがあるので、無駄な買い占めは避け、本当に必要な物を必要な数だけ購入するようにしてください。
9月に入って2つ目の台風発生
平年の台風発生数
台風11号は9月に入って2つめに発生した台風です。9月の台風発生数の平年値は4.8個ですので、平均的かやや遅いペースです。
今年は7月までに発生した台風が合計2個ととても少なかったものの、8月は平年を上回る7個の台風が発生しているため、発生ペースが遅いとはいえ油断はできません。
秋が深まるにつれて、気圧配置の関係で本州方面に近づく台風も増える可能性があります。台風による大雨や暴風への備えを今一度ご確認ください。
台風の名前
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風11号の名前「ノウル(Noul / 노을)」は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が提案した名称で、「夕焼け」を意味する言葉が由来です。