facebook line twitter mail

毎日の分析・改善でウェザーニュースの天気予報精度90%以上 都道府県別のデータも公開

2020/10/16 14:14 ウェザーニュース

今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、春は通勤通学や外出する機会が少なくなりました。

そのような中でも、家の中でいつもよりこまめに洗濯を行ったり、少しの時間で買い物に出かけたりと、日々の天気予報を確認する機会が増えたかもしれません。

ウェザーニュースでは、精度の高い天気予報を提供することを使命と考えて、日々予報精度の改善に取り組んでいます。

2020年これまでの精度実績を、ウェザーニュース予報精度改善チームの気象予報士 宇野沢が解説します。

2020年5月までの予報精度は96%

ウェザーニュースでは、精度の高い天気予報を提供するため、日々予報精度の改善に取り組み続けています。

実際に雨が降っていたところに対して、雨の予報を出していたかどうかを示す「降水捕捉率」を用いて精度を検証した結果、2020年1月~5月トータルでのウェザーニュースの予報精度は96%となりました。
>>ウェザーニュース-2020年1月~5月の降水捕捉率

※ここで扱う予報精度は、気象庁の評価方法に準拠した「降水捕捉率」を指しており、朝5時に発表された当日の天気マークを対象としています。
対象地点はアメダス約1300箇所で、1日の積算降水量が1mm以上となった場合を「降水あり」としています。
気象庁も同様に、発表した予報に対して評価を行っており、ホームページ上で一般に公開しています。
>>気象庁-2020年1月~4月の降水捕捉率

ウェザーニュースの雨予報に対するスタンス

ウェザーニュースでは、より一般の方の感覚に合う天気予報を出せるように努めています。

ウェザーニュースでは、アプリ会員から天気報告を送っていただくことにより、現地にいる人が雨と感じる状況を把握しています。これにより、雨量計などでは雨が観測されないような弱い雨でも、実際には雨が降っているという事例が過去にいくつもありました。

そのため、1時間に1mmに満たないような弱い雨でも、現地で“雨が降っている”と感じる降り方の雨になると予想すれば、雨予報をお伝えしていくことにしています。

弱い雨も含めた“適合率”は94.1%

次に、ウェザーニュースの雨予報のスタンスに合うように、現地で“雨が降っている”と感じる1mmに満たない弱い雨についても、精度評価を行いました。

全国約150か所にある気象官署(気象台や測候所など)では、降水量が1mmに満たない、0.5mmやそれよりも弱い雨(感雨)も観測しています。

捕捉率(1mm以上の雨で計算)ではなく、雨の予報を出していたところに、1mm未満の弱い雨も含めて雨が降ったという条件にする【適合率】というものを用いて検証を行いました。

その結果、2020年1月~5月における適合率は94.1%となりました。つまり、ウェザーニュースが雨の予報を発表していたところのうち、94.1%のところでは、実際に雨が降っていたということになります。

昨年同月よりも予報精度向上

これから梅雨を迎えるように日本には季節があり、雨が降りやすい日が多くなったり、晴れる日が多くなったりと、その季節その月によって天気が異なります。
そのため、天気予報も雨の予報が多い月もあれば、少ない月も存在するため、予報の精度も季節変化、月による変化も出てくるのです。

ウェザーニュースが発表した今年と昨年(2019年)の各月の予報精度を比較すると、今年の方が平均して5ポイントほど高くなりました。

精度の高い予報ができるヒミツ

このように、ウェザーニュースが精度の高い天気予報をお伝えできる裏側には、以下の3つの独自のシステムがあります。

<日本中を網羅する独自観測ネットワーク>
ウェザーニュースでは、全国に数多くいる会員の方(ウェザーリポーター)に、今いる場所の天気や現地の空の写真をリアルタイムに共有して頂いています。それに加え、独自観測機やライブカメラなど、合わせて1万3000地点の独自観測網もあるため、詳細に天気を把握することができています。

<複数の予測モデルに加え、日々の評価で予測アルゴリズムを最適化>
ウェザーニュースでは世界各国にある気象機関の気象予測モデルの計算に加え、独自の気象予測モデルによる計算結果も取り入れて、日々の天気予報を作っています。これを、上記の独自観測ネットワークで把握した各地の現在の天気情報などを用いて日々評価し、最も精度が高くなるようにチューニングを行っています。

2020年は日々評価したこのチューニングによって、天気のパターンごとに独自の天気予報を出すアルゴリズムがより確立されて、昨年よりも精度の高い予報をお伝えできるようになっています。

<1km四方ごとの超高密度な天気予報>
また、この独自のアルゴリズムで発表される天気予報は、1km四方ごとと非常に高解像度な予報として発表されます。さらに、地域ごとの天気の特徴(地域特性)をアルゴリズムに取り入れることで、通常は予測するのが難しい局地的な現象についても、より正確に予報に反映することができています。

2020年1月~5月までを振り返って

1月から5月は平均で96%と高い精度で予報を発信することができました。また、昨年の同期間として比較して、全ての月で上回る結果となりました。

この結果は、日々行っている精度評価と、その結果に基づき行う改善点の分析や知見をデータベース化することで、予報システムに学習効果が出てきたものと思われます。

これから雨による災害が発生しやすい季節となります。今後も災害時の被害を軽減できるように高い精度で予報をお伝えし、生活に役立つ情報として発信していくことに努めます。

>>【予報精度向上への取り組み】予報のはずれを感じたらこちらへ報告

【宇野沢 達也】
ウェザーニュース予報センター 気象予報士。千葉県旭市出身 自治体防災担当職員から転職し入社27年目。予報精度改善チームで予報業務および精度検証・改善を行っている。

参考資料など

降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html