facebook line twitter mail

花粉症は高齢になると軽くなる!? そのメカニズムとは?

2023/03/09 11:27 ウェザーニュース

まだまだ続く花粉症シーズン。この時季は、さまざまな花粉症対策グッズや苦労が話題になります。そんななかで聞いたのが「お年寄りには花粉症が少ない?」という話です。真偽のほどを調査してみました。

世代が上がるほど花粉症が軽い!?

「同じ地域に住んでいてもお年寄りには花粉症が少ない」「年をとると花粉症が軽くなった」などという話を聞きます。花粉症は世代によって違いがあるのでしょうか。

疑問に答えてくれるのが、ロート製薬株式会社が2017年11月に行った、花粉症を実感する20~79歳の男女500人へのアンケート調査です。
まず、花粉症に悩む人に、その症状の程度を尋ねた質問では、20代の「軽症」30.1%「中等症」49.3%「重症・最重症」16.4%に対して、60代以上では「軽症」61.1%「中等症」31.9%「重症・最重症」6.9%と回答しています。明らかに、若い世代ほど“重く”感じている人が多いことがわかります。
さらに、毎年の花粉症の症状への実感を尋ねた質問では、「年齢を重ねるにつれて楽になってきたと感じる」と回答した人は、全体19.6%。60代以上では、何と26.4%になったのです。

免疫・環境・食生活が世代差に影響?

このアンケート結果について、アレルギー専門医である大阪府済生会中津病院小児科 免疫・アレルギーセンター大阪乳児院院長の末廣豊(すえひろゆたか)先生は、免疫・環境・食生活との関係を指摘しています。

花粉症は、体が花粉の抗原を“異物”と認識して体内に抗体を作り、この抗体が蓄積されることでアレルギー感作(アレルギー準備が出来上がった状態)を引き起こすことで発症します。

「年齢を重ねることで免疫系が衰え、ガンなどの自己免疫疾患が増えることは知られていますが、花粉症も同様に、年齢を重ねた体が花粉の抗原を“異物”と認識する能力が衰えることで、アレルギー感作が起きにくくなると考えられます」(末廣先生)

さらに、環境や食生活の変化の影響があるといいます。

「若い世代では、環境が衛生的になりすぎ、2歳頃までに細菌に感染する機会が減ったことが、アレルギー性疾患の増加の原因であるとされています。

また、若い世代では、ファーストフードの普及など食生活の変化により、糖分の摂取が増加しています。このような食生活で、果糖・脂質を摂りすぎてしまい、腸の上皮からアラーミン(組織障害などにより放出される起炎因子の総称)が発生します。すると体の中で、このアラーミンを排除しようとしてアレルギー反応が起こるのです」(末廣先生)

いずれにせよ、つらい症状はすぐにでも軽くしたいもの。末廣先生は、「この調査では、花粉症の治療を行っていない状態で花粉症の程度を尋ねているが、積み重ねてきた過去の治療の効果も考えられる」とも指摘しています。適切な対策・治療で花粉症を軽減したいものです。
>>花粉シーズンはいつまで?【花粉カレンダー】

参考資料など

【協力】ロート製薬株式会社(http://www.rohto.co.jp/)