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ヒアリだけではない!危険な外来生物6選

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2017/08/16 11:46 ウェザーニュース

ヒアリの侵入に脅かされている日本列島。改めて外来生物の脅威を思い知らされた。はたしてヒアリは日本の気候になじめるのか?すでに定着した危険な外来生物の生態とともに、現況を緊急取材した。

※こちらの記事はウェザーニュースの月刊デジタルマガジン「月刊SORA」に掲載中の記事を一部編集してご紹介しています。

ヒアリの防除に成功した国、失敗した国

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横浜本牧ふ頭のコンテナヤード
横浜のコンテナヤードで定着していた

今年5月以降、各地で発見されているヒアリ。毒針に刺されると火傷のように激しい痛みが走ることから、「fire ant(火蟻)」と名付けられた。アナフィラキシー・ショックで亡くなることもある。

7月14日には横浜港の本牧(ほんもく)ふ頭(神奈川県横浜市中区)で、コンテナヤード内のアスファルトの割れ目に巣をつくっていた700匹以上のヒアリを確認。さなぎと幼虫もいたことから定着していたとみられる。
7月27日には福岡市でコンテナの荷下ろし作業中の男性が、国内で初めてヒアリに刺された。これらのヒアリはすべて駆除されたが、他に定着していたヒアリの集団はいないのか。

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環境省の資料を元に作成(7月25日時点)
南米が原産とされるヒアリは、これまでオーストラリアやフィリピン、台湾、中国南部など比較的温暖な地域で定着してきた。冬は氷点下になる地域では越冬できないとされるが、日本でも関東以南であれば十分に越冬できそうだ。

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最初に発見されたヒアリは広州から運ばれた
ニュージーランドで根絶宣言

ヒアリ防除の参考になるのがニュージーランドだ。2001年、北島のオークランド空港そばにヒアリの巣があるのを空港関係者が発見。ニュージーランド農務省は対策チームを結成し、殺虫剤でヒアリを駆除した。

さらに発見場所から1km圏内を「定着ハイリスクエリア」、5km圏内を「要注意エリア」にして封じ込め、2003年に根絶宣言を出すことができた。その後も海外から運ばれてきたコンテナ内からヒアリが発見されたが、定着前に駆除されている。

根絶しきれないオーストラリア

一方、オーストラリアでも2001年にブリスベンでヒアリの定着が確認され、ヒアリ根絶国家プログラムが発動された。6年後の2007年にはブリスベンに定着したヒアリの99%を駆除できたと発表したが、残りの1%は駆除できず、今も繁殖の危険がある。

ニュージーランドで発見されたヒアリの巣は1コロニーで定着後半年から1年以内とみられたが、オーストラリアのブリスベンでは巣が複数箇所で発見されていた。早期発見・早期駆除がいかに重要かがわかる。

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2001年にヒアリが定着したブリスベン
米国は年間5000億円超の被害

米国は1930年代にヒアリが侵入し、現在はテキサス州、フロリダ州など南部18州に定着している。年間1000万人以上がヒアリに刺され、亡くなる人も少なくない。

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米国ではヒアリが猛威を振るっている
経済的被害も甚大で、農作物の食害、電気設備の配線を食い破りショートさせる、巣がある敷地の不動産価格が低下するなど、経済的被害は年間5000〜6000億円に及ぶという。日本も対策に失敗すれば、米国の二の舞になりかねない。

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