facebook line twitter mail

ヒアリだけではない!危険な外来生物6選(2)

2017/08/16 06:37 ウェザーニュース

※こちらの記事はウェザーニュースの月刊デジタルマガジン「月刊SORA」に掲載中の記事を一部編集してご紹介しています。

定着した危険な外来生物6選

いつか遭遇するかもしれない

危険な外来生物はすでに国内に定着している。編集部がそのうち6種を選んで勝手にランキングした。

box1
1. ゴケグモ=咬みながら神経毒を注入

原産地がオーストラリアのセアカゴケグモが大阪府で発見されたのは1995年。現在は全国的に定着している。交尾後のメスがオスを捕食することから「ゴケグモ(後家蜘蛛=widow spider)」と名付けられた。
咬(か)むのはメスで、神経毒(α-ラトロトキシン)を注入する。咬まれた部位は激しい痛みを感じた後に全身症状(痛み、発汗、発熱など)が現れる。オーストラリアでは代表的な毒グモとして知られ死亡例もあるが、日本では重篤者は出ていない。
同じゴケグモ属のクロゴケグモ、ハイイロゴケグモもすでに日本に定着している。

2. カミツキガメ=大型で咬む力が強い

カミツキガメは成長すると体長が40〜50cmになり、性格は凶暴、動きは素早い。名前の通り咬む力が強く、一瞬で首を甲羅の上まで大きく反らして伸ばし咬みつくことができる。
日本にはペットとして戦前から入ってきていたが、1990年代になると米国から大量に輸入され、それらが遺棄されるなどして印旛沼(いんばぬま)水系(千葉県)、狩野川水系(静岡県)、不忍池(しのばずのいけ・東京都)などに定着。印旛沼水系では地元の漁協が定期的に駆除に当たっている。

3. ツマアカスズメバチ=凶暴で人を襲う

日本以外のアジアに広く分布していたツマアカスズメバチは2013年、対馬(長崎県)で営巣が確認され、前年から定着していたと考えられている。2015年には北九州市でも営巣を確認。生息圏を急速に拡大する習性から脅威となっている。
腹の先端が赤いことからその名が付けられたツマアカスズメバチは攻撃性が高く、繰り返し相手を襲う。10mを超える高い枝に巣をつくる習性があり、韓国では高層マンションに巣をつくった結果、住民が刺されている。
ミツバチなどを餌とするため、定着地域ではミツバチが全滅するなど養蜂業への打撃も心配されている。

4. ワニガメ=体長1m、「ガメラ」のモデル

北米原産のワニガメはペットとして飼われていたが、成長すると体長50cm〜1mになるので遺棄されるケースが多く、東京都、愛知県、大阪府、沖縄県などで捕獲されているが、一部は定着している可能性がある。
怪獣映画『ガメラ』のモデルとして知られる。大人の指でも簡単に咬みちぎれるが、その風貌に似合わず攻撃性は低く、好んで生息する濁った池や沼に足を踏み入れなければ襲われる危険は低い。

5. アカカミアリ=ヒアリ騒動で次々発見

アカカミアリはこれまで硫黄島(小笠原諸島)や沖縄県の伊江島の米軍基地周辺でしか確認されていなかったが、ヒアリ騒動で各地の港湾周辺を調べたところ、東京の青海ふ頭(江東区)のコンテナヤードでアカカミアリ1000匹以上が巣をつくっていたことが確認された。名古屋港(愛知県)ではコンテナを下ろしていた作業員がアカカミアリに刺された。
ヒアリより毒性は弱いが、人への刺咬(しこう)被害、在来アリの駆逐、農業被害などが懸念されている。

6. アリゲーターガー=ワニのような淡水魚

2009年に名古屋城(愛知県)の外堀で生息が確認されたアリゲーターガー(ガーパイク)が今年5月、ついに捕獲された。体長1.4m、体重30kgだった。外堀にはもう1匹いるとみられ、捕獲作業が続けられている。
アリゲーターガーは北米原産の肉食性淡水魚だが、ワニのような長く大きな口と鋭い歯が特徴。ペットとして飼育されていたが、成長すると体長2mになるため、飼育しきれずに放流されたとみられ、全国の河川や堀で目撃されている。
性格は大人しいが、スポーツフィッシングで釣り上げられる際に暴れ、頭突きをくらうなどして負傷する例がある。

将来の脅威になる外来生物

box3
地球温暖化でネッタイシマカが定着?

現在は侵入が確認されていないが、将来は侵入・定着が予想される外来生物が少なくない。その筆頭がネッタイシマカだ。地球温暖化で東南アジア、フィリピン、台湾などからネッタイシマカが国内に侵入・定着することが恐れられているのだ。
ネッタイシマカはデング熱、ジカ熱、黄熱(おうねつ)を媒介することで知られている。2014年に約70年ぶりにデング熱が国内流行したが、ネッタイシマカが定着するような環境になれば、流行が季節を問わず続くことが予想される。

猛毒サソリも要注意

日本にも沖縄県の八重山諸島などにヤエヤマサソリ、マダラサソリが分布しているが、いずれも毒性は弱い。懸念されるのが毒性の強いサソリの侵入・定着だ。港湾施設で輸入資材などの積荷に紛れ込んだサソリがしばしば確認されている。
懸念されるのが世界の熱帯・亜熱帯・温帯に広く分布し、1000種に及ぶキョクトウサソリだ。種によって毒性は異なるが、海外ではサソリの毒やアナフィラキシー・ショックで毎年数百人が死亡している。

名前も恐ろしいドクイトグモ

米国のテキサス州やジョージア州など亜熱帯地域に生息するドクイトグモは、2014年にミズーリ州の1戸の住宅から4000匹が発生し、住民一家は引っ越しを余儀なくされたそうだ。
攻撃性は低いが、ドクイトグモに咬まれると、特殊な毒によって咬まれた部分の組織が壊死(えし)したり、赤血球が破壊される病気を発症し、最悪の場合は死亡することがあるという。米国からのコンテナなどに紛れて日本に侵入する可能性がある。
ヒアリ以外にも危険な外来生物が新たに侵入したり、すでに定着している可能性がある。もし発見したら手で触らず、すみやかに地元自治体に連絡を。
  • お天気トピックス
    もっと見る

  • weathernewsのtwitterアイコン

    毎日の天気から防災・地震速報まで
    役立つ情報を日々配信中!

  • 公式SNSアカウント