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次の“国内観測史上最高気温”はどこか?

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2017/07/15 11:34 ウェザーニュース

NASA(米航空宇宙局)によると世界の平均気温は、昨年まで3年続けて最高を記録したという。となると今年の夏は日本も“観測史上最高気温”を更新する可能性がある。それはどこか?
※こちらの記事はウェザーニュースの月刊デジタルマガジン「月刊SORA」に掲載中の記事を一部編集してご紹介しています。

山形が74年間日本一だった理由

なぜ東北地方で40.8℃だったのか?

日本の歴代最高気温の変遷を見ると、2007年8月16日に熊谷(埼玉県)と多治見(岐阜県)がともに40.9℃を出して記録を更新するまで、1933年7月25日に山形(山形県)が記録した40.8℃が最高記録だった。
なぜ東北地方の山形が74年間も歴代最高気温を保持し続けたのか。

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1933年7月25日の天気図

猛烈なフェーン現象

上の天気図は、山形が40.8℃を記録した1933年7月25日6時のものだ。日本列島を挟んで、太平洋側に高気圧(換算値1019hPa)があり、日本海側に台風(同995hPa)があることがわかる。

ということは、高気圧から台風に向かって猛烈な風が吹いていた。しかも、山形は蔵王連峰(1841m)のすぐ西側にある。
猛烈なフェーン現象で気温が極端に上がったことがわかる。地上は上空より気圧が高いので、空気が吹き降りてくると圧縮されて温度が上がるという仕組みになっているのだ。山形が74年間も最高記録を保持し続けていた理由と思われる。

“観測史上最高気温”を出す条件

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暑い街として有名な熊谷。 暑い日には冷却ミストが自動噴霧される

熊谷は東京の熱風+フェーン現象

山形の記録を74年ぶりに破ったのは、2007年8月16日の熊谷と多治見だった。

この日の天気図は、北海道には停滞前線がかかっていたものの、本州付近は勢力の強い太平洋高気圧におおわれていた。

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熊谷は、北は赤城山(あかぎさん・1828m)、榛名山(はるなさん・1449m)、西は秩父山地(2601m)に囲まれた盆地型の地形にある。そこに東京のヒートアイランド現象で熱せられた空気が南風によって運ばれ、さらに上空を吹いている西風が秩父山地を越えて吹き降りてくるフェーン現象となることで熊谷は日本有数の高温地域になったと考えられる。

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多治見は2回のフェーン現象

もう一つの多治見が暑くなる理由は、まず太平洋側で高温になった空気が、紀伊半島の紀伊山地(1915m)を越えることで気温が上昇する(1回目のフェーン現象)。
その空気が、名古屋を通過することで気温がさらに上昇し(ヒートアイランド現象)、それに加えて多治見の南の内津(うつつ)峠(320m)を越えることで、気温が上昇する(2回目のフェーン現象)のだ。

多治見は山に囲まれた盆地にあることから熱風が逃げにくく、これまた日本有数の高温地域となっている。

⇒【次へ】現在の最高気温、そして記録更新はズバリ!?
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