ウェザーニュースの予報が、第三者機関の調査において「予報精度NO.1」を獲得しました。
日々の改善の積み重ねが結果に結びつき、気象情報会社として大変喜ばしく思っています。
予報の現場スタッフの努力はもちろんのこと、空の様子をリアルタイムに写真付きで報告してくださる「ウェザーリポーター」の存在があったからこそ、この結果にたどり着くことができました。
感謝の気持ちを込めて、ウェザーリポーターと15年以上に渡って共に行ってきた、予報精度改善の取り組みの軌跡をご紹介します。
ウェザーニュースの予報が、第三者機関の調査において「予報精度NO.1」を獲得しました。
日々の改善の積み重ねが結果に結びつき、気象情報会社として大変喜ばしく思っています。
予報の現場スタッフの努力はもちろんのこと、空の様子をリアルタイムに写真付きで報告してくださる「ウェザーリポーター」の存在があったからこそ、この結果にたどり着くことができました。
感謝の気持ちを込めて、ウェザーリポーターと15年以上に渡って共に行ってきた、予報精度改善の取り組みの軌跡をご紹介します。
テレビの天気予報では、強い雨を表現する際に「1時間に20ミリの雨が降った」などの表現が使われます。ただ、一般にこの数字がどのくらいの強さの雨なのか、どういう災害を引き起こす可能性があるのかは直感的に理解しづらい所です。そこで、ユーザーが雨量を観測することを通じて、雨の強さを体感し、ひとりひとりの気象リテラシーを高めて減災を目指すことをねらいとしていました。
この雨プロジェクトを通じて、ウェザーニュースでは雨の強さを“ポツポツ”“パラパラ”“サー”“ザー”“ゴーッ”と5段階の「雨の音」で表現することとしました。「1時間に20ミリの雨」という定量的な表現に加えて、雨の降り方を音で伝える定性的・感覚的な表現もその危険性を実感しやすいと考えたからでした。その後、この表現は2008年に「10分天気予報」というサービスに展開されました。
いま、そのときの空の様子を、写真や動画でリアルタイムで共有する「ウェザーリポート」は2005年11月に始まりました。この取り組みは、単に会員間で写真を楽しむためだけではありません。ウェザーニュースの予報センターが24時間365日リポートを監視し、そこから得られる晴れ具合・雲の厚み・雨の強さ・大雨被害・暑さ・寒さなどのあらゆる実況情報を天気予報を作るプロセスに随時反映するというものです。
それまで気象庁や気象会社が一方通行型で「提供」していた天気予報から、「JOIN&SHARE(参加し情報を共有しあう)」双方向型の「みんなで作る天気予報」がここから本格的に始まったのでした。
開始当時はまだスマートフォンはなく、SNSも限定的な時代でしたが、当時から多くの方々がリポーターとなり、日々空を報告してくれました。天気予報において、“いまの空”の情報がなるべく“多く”そろうことが、予報精度を高める方程式です。気象庁の気象観測機アメダスは全国に1,300か所。それらを大きく上回る数万通の天気の実況報告が毎日全国のリポーターから寄せられ、予報精度の向上へとつながっていきました。
「10分天気予報」は、現在地の1時間先までの天気予報を10分単位で確認できるサービスです。「10分天気予報」の最大の特徴は、その予報の提供時に、ユーザーからリアルタイムの天気報告を集める仕組みとなっていること。そして、その報告を元に天気予報が作られていることです。
気象レーダーにはその特性上、レーダーで捕捉していなくても実際は弱い雨が降るケースや、捕捉していても実際には雨が降っていないケースがあります。「10分天気予報」による多くの天気報告により、この状況にいち早く気づけるようになったのでした。「10分天気予報」の誕生は、ユーザーからの貴重な情報をビッグデータとして収集し予報への反映が可能となった大きな契機でした。
ゲリラ雷雨やゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲(雷雲、入道雲)は、半径が十数km程度と小さく、急に発達していきなり豪雨をもたらします。 このような狭い範囲で急に起こる現象については、コンピューターで計算して予測を行おうとすると、計算が終わるころには積乱雲が消えてしまうことも珍しくありません。
2008年7月28日、兵庫県神戸市灘区にある都賀川がゲリラ雷雨により水位が急増、親水公園で遊んでいた方が川に流されるという痛ましい事故が起こりました。
ゲリラ雷雨による被害を食い止めたいという思いから、2008年7月30日に「ゲリラ雷雨防衛隊」が発足。ユーザー(隊員)から寄せられる「ゲリラ雷雨の前兆となる雲のリポート」を元に予測し、ゲリラ雷雨発生の危険性が高まると通知で知らせるというサービスが誕生しました。
事故当時、「ゲリラ雷雨は予測不能」と新聞の見出しが躍りました。この取り組みにより、雨雲レーダーに映る前段階から雷雨の前兆となる雲のリポートを解析し、発生の兆候を掴むことで、事前にゲリラ雷雨の危険をお知らせすることが可能となったのです。アラームの通知サービスは、開始当初はゲリラ豪雨が発生する10数分前にしか通知できませんでしたが、現在は約1時間前には通知できるようになりました。
ゲリラ雷雨・豪雨のリポートは、その年の天候にもよりますが、シーズン全体で30〜40万通が届きます。これだけの情報が、ゲリラ豪雨の予報精度を上げているのです。
開始より有料サービスとして展開していた「ウェザーリポート」を2012年7月に無料化しました。
現在のスマホのSNS時代において投稿が無料なのは当たり前ですが、ウェザーリポートを有料としていた理由は、虚偽のリポートをフィルターする機能がなかったため、ウェザーリポーターを限定的にしておいたほうがいいと考えていたためです。
無料化のきっかけは2011年3月11日の東日本大震災でした。非常事態の中、一時的に無料で開放し2日間で約4万件のリポートが被災地から集まりました。時々刻々と変化する被害をマップで公開し、国の機関や大学など広く活用いただきました。多くの方に報告いただくことで新たに生まれる価値を実感したのです。
その翌年、正式にウェザーリポートを無料化することを決定。この無料化により、1日に届くリポート数はそれまでの数倍に急増し、予報精度向上への一つの転機となりました。
「WITHレーダー」は、航空機レーダーを最先端の気象技術を用いて応用し、ゲリラ雷雨や突風・竜巻をもたらす積乱雲を捕捉するために開発されたドップラーレーダーです。
この革新的なレーダーと、一般ユーザーから届く発達する積乱雲の写真との合わせ技により、ゲリラ雷雨捕捉の向上につながりました。
予報精度向上にむけたデータベースは、全国のユーザー(ウェザーリポーター)からの天気報告(ウェザーリポート)だけではありません。気象観測機の整備を強化し、気象観測データの向上に努めてきました。
“ソラ”を見守るアン“テナ”「ソラテナ」とは、全国約3,000か所のKDDIの携帯電話の基地局に気象観測機を設置し、気温、気圧、湿度、感雨、紫外線、日照の6種類の気象データを観測・配信する取り組みです。観測されたデータは単に数字として展開するのではなく、暑さや寒さ・湿気や乾燥などヒトが感じる“体感”コンテンツとして2011年6月に配信を開始しました。
「WxBeacon」は大きさは手のひらサイズ(幅7.2cm、重さ37g)で、気温・湿度・気圧の3要素を自動で測定し、データを発信する観測機です。2年後の2017年6月には、さらに軽量かつ小型の気象センサー「WxBeacon2」(ウェザービーコン ツー)が登場。気温・湿度・気圧に加えて、新たに明るさ・紫外線・騒音を合わせた6要素を24時間自動で観測できるようになりました。
ウェザーリポーターは、WxBeaconで測定したデータをアプリで確認できるほか、そのデータを写真と合わせて予報センターに送信できるようになりました。
これらの「WxBeacon」により気象情報のクラウドセンシングをウェザーリポーターと共に実現し、それら観測データを気象予測に組み込むことで、予測精度の向上に繋げることができました。
「ウェザーリポート」開始から10年。それまでのウェザーニュースの参加型の取り組みは、「今の天気を報告する」「いまの気象データを測ってもらう」ことでしたが、新たに「予報に参加してもらう」ステージに飛躍します。
2015年11月に開始した「プロジェクトicon」とは、天気マーク(天気アイコン)の編集に、一般のユーザーが参加する取り組みです。天気予報の精度をさらに高めるべく、ユーザーの中でも特に貢献度や意欲の高いメンバーに地元の天気マークのコントロールを任せるという試みでした。発表されている目先6時間以内の天気予報のマークに違和感があれば、正しいマークを提案し、ウェザーニュースの予報センターにて確認の上、修正をする仕組みです。
それに伴い、ユーザーの気象リテラシーを高めるため、2015年12月から2016年2月にかけて47都道府県で、天気図の見方やその土地特有の気象などについて情報交換を行う気象のセミナー「全国セミナー」を開催。その後は、気象の通信講座「空のウェブセミナー」を開講しました。
2017年7月、超局地的な気象予測モデルとして「1kmメッシュ天気予報」が完成しました。
このモデルは、全国1.3万地点の独自観測機による気象観測データやひまわり8号の衛星画像、これまで培った現地ユーザーからの実況報告やフィードバックおよび過去10年のデータを解析してマシーンラーニングを行うなど、ウェザーニュースが持つあらゆる気象データを活用して開発されました。
この超細密な天気予報により、毎日の天気予報の精度向上だけでなく、従来の予測モデルでは困難だったゲリラ雷雨など局地的な現象や地域の予報がより正確に行えるようになりました。
2018年6月には、業界初の超高解像度の雨雲レーダーがリリースされました。
新たな予測モデルを導入し、従来のレーダーより予測時間の延長と高解像度化を実現しました。これにより梅雨時期の強雨や夏のゲリラ豪雨など局地的かつ突発的な現象も、予報をより正確に確認できるようになりました。
現在〜30分後 | 35分後〜1時間後 | 1時間後〜3時間後 | |
---|---|---|---|
従来 | 250mメッシュ/5分間隔 | 1kmメッシュ/5分間隔 | 1kmメッシュ/1時間間隔 |
新 | 250mメッシュ/5分間隔 | 250mメッシュ/5分間隔 | 250mメッシュ/10分間隔 |
さらに、超高解像度「雨雲レーダー」は進化を続け、2020年8月には15時間先まで、2021年7月には27時間先まで予測が可能になっています。
これらの開発にあたっても、ウェザーニュースの日本最大の気象観測網と、全国のウェザーリポーターとの気象情報を通じたネットワークがあってこそ実現が可能となりました。
2018年は西日本豪雨が発生し、被災地では通常より少ない雨量でも災害につながるケースがありました。そこで、復旧作業時に雨の降るタイミングを確認し、二次災害の防止に活用していただくべく開発されました。
「5分天気予報」は、気象庁の実況観測データや衛星画像を取り込み、さらに、独自観測機による観測データや、ウェザーリポーターから寄せられる実況報告を元にリアルタイムにデータ補正を行っています。予測モデルの開発には、日本最大の気象観測網と全国のユーザー(ウェザーリポーター)と培ってきた世界最大のお天気報告(ウェザーリポート)のデータベースが必要不可欠でした。
ウェザーニュースはウェザーリポーターと共に一番当たる天気予報に挑み続け、2018年からは独自で検証を続けてきました。そして、2022年に第三者機関(東京商工リサーチ)の検証により、予報精度No.1であることが確認されました。
全国142地点における毎朝5時時点の天気アイコンの適中率について、国内の人気気象サイト5つ(ウェザーニュース含む)が提供しているものを比較。その結果、予報精度が1位であることが明らかになりました。t検定を用いて検証した結果、有意差も確認されています。
この結果は、ウェザーリポーターの皆さまのご理解とご協力なしには、たどり着くことができませんでした。スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱいです。ほんとうに、ありがとうございました。
改善の旅はこれからも続きます。今後も、ウェザーニュースの天気予報は、現地からいただく天気のフィードバックを取り込むことにより、常に進化を続けていきます。
どこよりも一番当たる天気予報をお届けできるよう、この先もウェザーリポーターの皆様と共に歩んでまいります。