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春の川沿いに大量発生する小虫の正体とは? 人体への影響は?

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2024/04/25 05:00 ウェザーニュース

川沿いの遊歩道などで遭遇することの多い小さな虫の群れ。その正体と、対策などについて、虫ケア用品最大手のアース製薬に教えていただきます。

蚊柱は“蚊”ではない!? その正体は?

気温が高くなってくると、夕暮れなどにちょっとやっかいな虫の群れが発生していることがあります。川沿いの遊歩道など、うっかり気づかずに突っ込んでしまったり、目や口に入ることもあるやっかいものです。

「『蚊柱』ですね。正体は、無数に集まっているユスリカ(揺蚊)です。ただし、蚊とは異なる別の虫です。成虫はこれから秋の終わりごろまで発生します」(アース製薬)

蚊が群れているように見えて、ドキッとします。

「確かに見た目は蚊、特にアカイエカにも似ていますが、異なる別の虫です。ユスリカの成虫は蚊のように人や動物から吸血することはありません。成虫は口や消化器が退化していてエサを食べないのです」(アース製薬)

アカイエカとユスリカは、止まり方で区別がつけられます。アカイエカは後脚が長く、ユスリカは前脚の方が長くなっています」(アース製薬)

河川付近に蚊柱が多い理由

蚊柱が、河川の近くなどに多いのはなぜなのでしょうか。

「実は、蚊柱のほとんどがユスリカのオス。数十~数百匹のオスの群れで構成されています。

ユスリカの幼虫は側溝や下水、どぶなどで発生し、蛹(さなぎ)になり、今の時期から秋くらいまでに羽化して成虫になります。オスは群れとなって羽音を鳴らし、メスを呼び寄せます。

メスは基本的に単独行動をしていますが、蚊柱の中に飛び込んで相手を見つけるのです。つまり、蚊柱はユスリカの出会いの場とも言えるでしょう。

ユスリカが蚊柱になっているのは、日没時の川のそばなどが多いです。灯りに引き寄せられる性質があるため、街灯の下に集まったり、民家に飛び込んだりもします」(アース製薬)

ユスリカの”害”と対策

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ウェザーニュースが行った「これまでに道で『小さな虫の大群』が飛んでいるのを見たことがありますか?」というアンケート調査では、「目や口に入った」は34%もありました(2019年4月24〜25日実施、9571人回答)。ユスリカで困るのは、他にどんなことがあるのでしょうか。

「ユスリカは人を刺すことはありませんが、大量に集まっていると不快ですね。街路灯に集まったり、玄関先の灯りから家に飛び込んだり、工場の異物混入の原因になることもあります。

服や洗濯物について潰されると汚れの原因になります。また、吸引するとアレルゲンとなって喘息などアレルギーを引き起こすこともあります」(アース製薬)

短命のユスリカ、どう対策する?

ユスリカ対策は、どうしたらよいのでしょうか。

「ユスリカは人を刺すこともなく、成虫は口や消化器がないため、栄養を摂ることができずに1日から長くても数日で寿命を迎える、はかない虫です。その性質を知れば、上手に避けることができます。

灯りに誘引されるので、家では遮光性のあるカーテンを使用して、灯りが外に漏れないようにします。ユスリカが集まってくるようなら、吊り下げタイプの虫よけ剤や、スプレータイプの忌避剤を使用してください。アウトドアなどにお使いいただける携帯用の虫よけもあります」(アース製薬)

川沿いや街灯の下を通るときは特に注意したり、自転車移動では伊達メガネやマスクでガードするなど、工夫していくのもよいかもしれません。

ユスリカの幼虫は他の生き物のエサになるのはもちろん、水の中の有機物を食べて成長するため、川や池などの水質浄化や水底の土壌保全に役立っているといいます。上手に、共生していきたいですね。
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参考資料など

取材協力/アース製薬