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花の裏側に違いあり!?
ソメイヨシノ(染井吉野)の見分け方

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2024/03/19 05:30 ウェザーニュース

今年は桜の開花時期が、昨年と比較すると遅くなっています。

先週は春本番の陽気でつぼみが生長しました。ただ、今週はこの時期としては気温の低い状況に戻る予想となっており、つぼみの生長も一進一退となっています。

3月末にかけて一日一日の気温差が大きくなる予想で、開花の始まりはまだ先となりそうです。桜が開花する日を今か今かと待っている方は多いのではないでしょうか。

桜の開花日が近づくと話題に上るのが、桜の種類の見分け方です。なかでも代表的なソメイヨシノ(染井吉野)とその他の桜の見分け方を、日本花の会研究員の小山徹さんに伺いました。

桜の品種、日本には400種以上!?

桜にはいろいろな種類がありますが、どう分類されているのでしょうか。

「桜はバラ科サクラ亜科サクラ属の落葉樹で、日本には400種類以上の品種があると言われています。そのうち昔からある野生の桜は、山桜など10種類です。その他は人為的につくられた改良品種で、里桜と総称されます」(小山さん)

里桜の代表的な品種がソメイヨシノと考えていいのでしょうか。

「その通りです。私たちがお花見で見るのはソメイヨシノが多いので、“桜前線”や“開花宣言”の指標になるのもソメイヨシノです」(小山さん)

「ソメイヨシノ」とは、どのような桜なのか

人為的につくられたといいますが、ソメイヨシノはどのようにつくられたのでしょうか。

「江戸時代末期に江戸染井村(現・東京都豊島区)の植木屋が“吉野桜”として売り出したと伝えられています。1900年に博物学者、藤野寄命(ふじのよりなが)により染井吉野と名付けられました。

接(つ)ぎ木でいくらでもつくれ、花つきが良く(多少手入れが悪くても花が咲き)、花が大きく、樹全体に花を咲かせ、生長が早いことから全国に広まりました。

サクラ類てんぐ巣病に罹(かか)りやすく、最近は羅病(りびょう)した桜をみかける事もあるので、その対策が急務となっています」(小山さん)

ソメイヨシノとオオシマザクラ、エドヒガンの見分け方

ソメイヨシノを見分けるには、どうしたらいいのでしょうか。

「ソメイヨシノはオオシマザクラ(大島桜)とエドヒガン(江戸彼岸)を交配してつくられた雑種と推定されています。従って、両親とされるこの2種との違いを見極めなければなりません。

オオシマザクラは伊豆半島、房総の海沿いに自生し、多くの栽培品種の片親となっています。また、桜餅を包む葉としても有名です。

エドヒガンは本州、四国、九州などに分布しています。名前は、江戸でお花見の頃に咲くことから付けられたと言われますが、ソメイヨシノの片親だから当然ですね。
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この3種は花形が良く似ていて開花時期もほぼ一緒なので、花の裏側の「がく」で見分けてください。見分けるための重要な情報がいっぱいあるそうです。

「もっとも目立つのは、基部の形です。ソメイヨシノは少しポッコリしていますが、オオシマザクラと同じようにどちらかというとスマートに見えます。一方のエドヒガンは大きく膨らんでポッコリして見えます。

また、ソメイヨシノはがく片(へん)にかけてが『ロート型で毛あり』なのに対し、オオシマザクラは『ロート型で毛なし』、エドヒガンは『つぼ型で毛あり』と違いがあります。

また、オオシマザクラはがく片にしっかりした鋸歯(きょし)が付いていて、縁がギザギザしています。エドヒガンやソメイヨシノはオオシマザクラに比べたら鋸歯は目立ちません」(小山さん)
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樹皮でもある程度、見分けることができるといいます。

「ソメイヨシノは横筋が多くカサカサした樹皮です。オオシマザクラも横筋がありますが光沢のあるつやつやした樹皮です。エドヒガンはクヌギのように縦に浅く裂け目が入った樹皮です」(小山さん)

桜の開花日が近づいてお花見の話題が上がったとき、家族や仲間にソメイヨシノについての蘊蓄(うんちく)を語れると、より一層桜の開花が待ち遠しくなり、お花見も楽しめるかもしれません。
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