SORA旬のリサーチ(7)

人に話したくなる! 「松茸」の話5選

明治、大正時代、松茸は椎茸より安かった!? 今では国産の松茸は貴重な高級食材になっています。それはなぜか? 秋の味覚の王様、松茸をめぐるとっておきのお話を紹介します。

1.なぜ国産松茸は高価なのか?

松茸の生産量は、1941年にピークを迎えて以降1950年頃までに約半減、さらに1960年代を通じて激減、今ではピーク時の0.5%程度にまで落ち込んでいます。
松茸生産量グラフ 農水省『特用林産物生産統計調査』より作成

松茸生産量グラフ
農水省『特用林産物生産統計調査』より作成

これほど激しく減少してしまった理由の一つが、日本の林業と大きく関わっていたのです。松茸は山林でアカマツに共生する形で生長しますが、1930年代末になると、国内における木材需要が急増し、今までパルプの原木として利用されていなかったアカマツが大量に伐採されるようになりました。
戦後も復興資材として、さらに1960年代には高度経済成長に合わせて、パルプなどの木材需要が上昇。そのため国内の原木はほとんど伐採され尽くしてしまうほどだったのです。さらに、後継者不足による山林の荒廃も追い打ちをかけています。
松茸は共生の相手を失ってしまった

松茸は共生の相手を失ってしまった

その結果、1920年代頃までは豊富だったアカマツがほとんどなくなってしまい、それに伴って松茸も数が減り、高額で取り引きされるようになったというわけです。明るい材料としては、今、各地の山林でアカマツの保護活動、植林が進められていることです。