かつては頻繁だった都内の浸水・冠水が近年、確実に減ってきた。1時間雨量50mmを超える豪雨が増えたにもかかわらずである。大きな効果を発揮しているのが、東京都下水道局が進めてきた地下貯留施設だ。
頻繁だった浸水・冠水
思い通りにならなかった治水
平安時代に白河法皇(1053〜1129年)は「賀茂河(鴨川)の水、双六の賽(サイコロ)、山法師(僧兵)。これぞわが心にかなわぬもの」と言ったという。
白河法皇は初めて院政を行い、絶大な権力をふるったが、思い通りにならない筆頭が鴨川だった。昔から治水には苦労してきたのだ。
東京の河川周辺でも床上浸水
時代はくだって現代。たとえば2005年9月4日、台風14号の周辺から湿った空気が関東地方に流れ込み、東京都23区西部では雷雲が発生。杉並区下井草では21時50分までの1時間に112mm、総雨量263mmの雨を記録した。いわゆる杉並豪雨だ。
神田川流域の中野区、杉並区では川からの溢水(いっすい=あふれた水)で床上浸水約1500棟、床下浸水約1000棟の被害。都内全体では172haが浸水し、床上床下浸水は約5800棟にのぼった。
1980年代には2万戸超が浸水
東京は意外に水害が多い。1982年9月には台風18号がもたらした豪雨で荒川、綾瀬川、神田川などが溢水し、約1620haが浸水、床上・床下浸水は約2万4300棟にのぼっている。その後も神田川、目黒川、石神井川などがたびたび溢水している。
ゲリラ豪雨で下水道工事中に流される
2008年8月には、ゲリラ豪雨により豊島区雑司が谷で下水道工事中の作業員が流されるという事故が起こっている。
編集部はこの事故を取材したが、事故現場は午前中、よく晴れていたのに、12時頃から時間雨量60mmという非常に激しい雨が降った。地元の人たちも経験したことがない土砂降りだったという。大量の雨水は下水管に流れ込み、中で作業していた6人が流され、5人が亡くなっている。
しかし、2005年に5000棟を超える床上・床下浸水(前項)の被害を出して以降、1000棟を超える床上・床下浸水は起こっていない。何が大規模浸水を防いでいるのか。