人が飲み物や弁当を選ぶとき、無意識のうちに天気に左右されるようだ。コンビニエンスストアは、人のそんな嗜好の変化を予想して品揃えをしているため、限られた売場スペースに欲しい商品が揃っている。それがなぜ可能なのか?
梅雨明けが夏商戦の始まり
コンビニで感じる季節感
コンビニは季節の変化に敏感だ。セブン‐イレブンは全国で100円のドリップコーヒーを提供しているが、お客様の嗜好が季節を先取りしているという。セブン&アイ・ホールディングスの広報担当者(以下、広報担当)が語る。
「東京の店舗の場合、暖かくなる5月になるとアイスコーヒーの売り上げがホットコーヒーを上回り、冷える日もある10月になると主流だったアイスコーヒーに代わりホットコーヒーがメインになります」
消費者は気温の変化に敏感
季節の変わり目には商品構成が変わるが、特に暑さが本格的になる梅雨明け後の変化は大きい。夏商戦の始まりだ。関東甲信の梅雨明けは例年7月20日前後。
「梅雨明けで気温と体感気温が上昇すると、ざる蕎麦などの冷たい麺、アイスクリーム、ロックアイス、ビール類などの売れ行きが大きく伸びます。それを予想して各店舗は品切れがないように発注します」(広報担当)
ストアコンピュータの天気予報
コンビニの商品は、店長や従業員が発注している。その際に参考にするのが、本部から提供されるストアコンピュータの天気予報だ。
「天気予報は店舗ごとにピンポイントで1週間先まで提供しています。店舗はその天気予報を基に、日々仮説を立てています。時間ごとの天候、最高気温や最低気温、前日差や湿度による体感気温、さらに近隣の催事などの情報、近隣施設の情報、曜日特性などさまざまな情報から品目ごとの発注個数を決めています」(広報担当)
細かく分かれている発注
セブン‐イレブンの発注は、サンドイッチ、焼き立てパン、お弁当・おにぎり、麺類、デザート、サラダ、チルド品、カップ麺などの加工品、ドリンク、ビール類などの酒、菓子、アイス、日用品、雑貨などさまざまなジャンルがある。
「ジャンルが多いため、オーナーさんや店長さんだけでなく、お店の従業員さんがそれぞれ得意なジャンルを分担して発注しています」(広報担当)