「樹木が枯れる」「雨が目にしみる」など、1970年代から被害報告が相次いだ酸性雨。ところが、2000年以降は酸性雨が話題にのぼることが少なくなった。酸性雨はいま、どうなっているのだろうか。
1970年代から被害報告相次ぐ
北欧の湖から魚が消えた!
酸性雨を初めて解明したのは、いまから約50年前の1968年、スウェーデンの土壌学者スバンテ・オーデンだった。酸性雨の分布を広範囲にわたって調べ、それが遠方から運ばれてくる亜硫酸ガスと窒素酸化物に起因することをつきとめたのだ。
そのスウェーデンでは、湖から魚が消えていた。湖の水を調べると、pH(ピーエッチ)が5前後と酸性化していた。pH7が中性で、数値が低くなるほど酸性度が強くなる。酸性に弱いサケやマスが生息できなくなったのだ。
日本でも被害報告相次ぐ
1970年代になると、日本でも酸性雨による被害報告が相次いだ。「雨に打たれた野菜の葉が変色した」「雨が目にしみる」「山の木が枯れている」などなど。
建築物の被害は、銅ぶきの屋根が腐食した、コンクリートが溶けてつらら状に垂れ下がる、鉄筋の腐食が進んでいるといった報告が上った。酸性雨は最大の地球環境問題となった。
赤城山でpH2.9の酸性霧
京都大学フィールド科学教育研究センター研修員の村野健太郎さん(70歳)が酸性雨の研究を始めたのは、国立公害研究所(現・国立環境研究所)にいた1984年のことだった。手がけたのは赤城山(群馬県)の酸性霧(さんせいぎり)だった。
「酸性雨は多くの研究機関が測定していたので、誰もやっていない霧を調べたのです」(村野さん)。立ち込めている霧を捕集して分析してみると、多くはpH4台だったが、pH2.9と酸性度が高い日もあった。その赤城山では針葉樹も広葉樹も枯れているエリアが点在していた。
今も酸性雨が降っている
1983年には環境庁(現・環境省)が北海道から沖縄までの全国で酸性雨調査を開始し、調査結果を毎年公表している。観測地点で若干の差があるが、おおむねpHは4.7〜4.8で、それは今も変わらない。
pH5.6以下を酸性雨と定義する見方もあるので、pH4.7〜4.8の雨水は酸性雨だ。1980年代から現在まで酸性雨は降り続けているのだ。しかし、昨今は酸性雨という言葉を耳にする機会がなくなった。それはなぜか?
この続きは、ウェザーニュース会員(有料)に登録していただくとご覧いただけます
月刊SORAとは
「五感を磨く!世界初のお天気マガジン」として好評をいただいた雑誌「季刊SORA」が、月刊デジタルマガジンとして生まれ変わりました!
「月刊SORA」は、ウェザーニュースタッチのメニューから、いつでもご覧いただけます。
ウェザーニュース会員になってバックナンバーも堪能!
![backnumbers]()
月刊SORAには無料記事と有料記事があります。ウェザーニュース会員になると、
バックナンバー全てをご覧いただけるようになります。もう一度読みたいあのお天気キャスターのインタビューも、見逃してしまった京都のあの記事も、たっぷりお楽しみください。