父・三浦雄一郎氏とともに過酷な冒険を続ける三浦豪太氏(プロスキーヤー・登山家・医学博士)が、これまで体験した危険が多い辺境の大自然の気象世界を描く、貴重なノンフィクション。連載第1回目は雄一郎氏が75歳で登頂した2008年のエベレスト。そこで起きた奇跡とは!?
聖火リレーがエベレストの頂を越える!?
2008年5月10日、父、三浦雄一郎を隊長としたミウラ隊はネパール側のエベレストのベースキャンプにいた。この時僕は副隊長としてなかなか登山許可が下りないエベレストの政治的状況に辟易(へきえき)とし、半ばふてくされながらテントの中にいた。
その理由は北京五輪にあった。当時、中国は北京五輪の成功に国の威信をかけていた。その五輪最大のプレイベントは聖火リレーである。しかしこの聖火リレーはいたるところで不評を買っていた。中国が抱える人権問題を理由に世界各地を走る聖火ランナーたちが妨害を受けたり、ボイコットが起きていたのだ。
その悪名高き聖火リレーがなんとエベレストの山頂(8848m)を越えようというのである。そのルートはこうした人権問題の真ん中、チベットを通るため中国は警戒してチベット入域を各国に禁止してしまったのだった。
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三浦豪太(プロスキーヤー・登山家・医学博士)
1969年、神奈川県鎌倉市生まれ。三浦雄一郎の次男としてキリマンジャロを最年少(11歳)登頂。91年よりフリースタイルスキー、モーグル競技へ転向し、94年リレハンメル五輪、98年長野冬季五輪代表。2001年米国ユタ大学スポーツ生理学部卒業後、ワールドカップ解説やプロスキーヤーとして活躍。父・雄一郎とともに3度にわたり世界最高峰エベレスト登山に同行。現在、(株)ミウラ・ドルフィンズ低酸素・高酸素室のトレーニングシステム開発研究所長。医学博士(順天堂大学大学院医学部加齢制御医学講座)。