地球温暖化が進行している。唯一の対策は二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制することだが、排出量は年々増加する一方だ。このまま温暖化が進むと将来何が起こるのか。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「第5次評価報告書」などをもとに、あなたの子や孫の世代が体験するであろうことをシミュレーションする。
熱帯化した日本の夏
40℃を超える日も
西暦2100年8月、日本は灼熱の夏を迎えていた。地球温暖化に加えてヒートアイランド現象を伴う東京は、夜も30℃を下回ることがなく、日中は40℃を超える日も珍しくなくなった。
2014年にIPCCがまとめた「第5次評価報告書」の最も厳しい想定であるRCP8.5シナリオでは、21世紀末の世界平均気温は21世紀初頭に比べて2.6〜4.8℃上昇すると予想していたが、その上限が的中したかたちだ。
ちなみに、RCP8.5とは、放射強制力(地球に出入りするエネルギー量)が、産業革命前に比べて1m2あたり8.5W増えることを意味する。
ウルトラ・クールビズ
人々の暮らしぶりも変わった。かつて環境省が夏の服装を軽装化しようとクールビズ(2005年)、スーパー・クールビズ(2012年)を提唱したが、それでは間に合わず、4月から10月は半袖、半ズボン、日よけの帽子といったウルトラ・クールビズが定着した。
気温が上昇する昼さがりは外出する人がほとんどいないので、商店は正午から夕方まで店を閉めるようになった。晴れた日は必ずといっていいほど夕方にゲリラ豪雨があるので、それが過ぎてから店を再開する。
感染症も熱帯化
21世紀初頭、夏に熱中症で病院に搬送される人は年間約5万人、死亡する人は約1000人だったが、21世紀末になるとその5倍に達した。熱波が押し寄せるとさらに犠牲者が増えた。
関東地方以南は冬でも気温が15℃を下回らず、ネッタイシマカやハマダラカが常在し、デング熱やマラリアなど熱帯性の感染症が蔓延するようになった。
農業・漁業が劇的に変化
一般的に気温が上昇すると農作物の収量は上がるが、限度を超えると品質が低下したり、育たなくなる。米は高温によって白未熟粒(コメが白く濁る)や胴割れ(コメに亀裂が生じる)が発生するため、東北や北海道が米作の中心地になった。
野菜や果物も栽培適地が北上した。その結果、沖縄でしか栽培できなかったバナナやパイナップルが関東地方でも栽培可能に。東南アジアの食材も自給できるようになり、エスニック料理を提供する店が増えた。
海水温も上昇したため、沿岸ではアンコウ、ヤナギムシガレイ、タコなど南方系の魚類が獲れるようになったが、一方で海水温の上昇と海洋酸性化で魚の餌になるプランクトンが減少したため、漁獲量は大幅に減少した。
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