気象アーカイブス(20)

11月は超スーパームーン出現!! 人類が月に降り立った日

11月14日はスーパームーンだ
11月14日はスーパームーンだ
11月14日は超がつく「スーパームーン」だ。月との距離は平均38万4400km(光の速さで約1.3秒の距離)だが、この日はグッと近づいて35万6511kmだから、ふだんより14%大きく、30%明るく見える。その月に人類が初めて降り立ったのは47年前のことだった。

47年前に実現した月面着陸

イーグルが月面着陸

1969年7月20日、アポロ11号の月着陸船イーグルは、月周回軌道を回る司令船コロンビアから切り離された。米国フロリダ州のケネディ宇宙センターを出発して4日後のことだった。
アポロ11号の月着陸船
アポロ11号の月着陸船
アームストロング船長とオルドリン飛行士の2人が乗った着陸船は噴射しながらゆっくり下降していたが、アームストロングが窓の外を見ると、大きな岩がゴロゴロ転がっていた。そこに降りれば着陸船は転倒する。アームストロングは操縦を半手動に切り替え、「静かの海」と呼ばれる月面に着陸した。

「人類にとって偉大な飛躍」

着陸船のエンジンを停止させ、米国テキサス州ヒューストンにあるNASA(米国航空宇宙局)の管制センターと交信し、窓から月面のようすを観察し、宇宙服を身につけ、船外活動の準備を終えたときには着陸から6時間半がたっていた。
ヒューストンの管制センター
ヒューストンの管制センター
アームストロングが着陸船のハッチから外に出て、9段のはしごをゆっくり降りて月面に降り立ったのは、7月21日2時56分UTC(協定世界時)だった。
月面に初めて人が降り、第一歩を踏み出す映像は世界中に配信された。そしてアームストロングは言葉を発した。
アームストロング船長が月に降り立つ瞬間
アームストロング船長が月に降り立つ瞬間
「これは1人の人間にとっては小さな1歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」

重力が地球の6分の1

アームストロングから15分遅れてオルドリンも月面に降り立った。彼は月のようすを「荘厳かつ荒涼とした風景」とのべた。実際、見渡す限り砂と岩しかなかった。
月面に印された足跡
月面に印された足跡
重力が地球の6分の1しかないため、両足で踏み切る「カンガルー・ジャンプ」などさまざまな歩き方を試したところ、大股のほうが歩きやすいことがわかった。
また、太陽に照らされているところから着陸船の陰に入ると、宇宙服の中の温度に変化はなかったが、ヘルメットの内部は温度差が感じられた。月面は陽が当たっているところは100℃を超えるが、陰に入るとマイナス100℃以下と温度差が大きいのだ。
月面のオルドリン飛行士
月面のオルドリン飛行士

2時間半の船外活動

2人は月面に星条旗(米国国旗)を立て、地震計やレーザー反射鏡(地球と月の距離を測定する)を搭載した科学実験装置を設置し、写真撮影を行い、土壌サンプルや岩石の採集などを行った。
星条旗を月面に立ててきた
星条旗を月面に立ててきた
約2時間半で予定されていた月面活動をすべて終えると2人は着陸船に戻った。宇宙服の生命維持装置や月面靴など不要になった機材を月に残してハッチを閉めた。そして船内を与圧して睡眠についたのである。
月から持ち帰った石(アポロ15号)
月から持ち帰った石(アポロ15号)

地球への帰還

2人は管制センターからの目覚ましで起こされるまで約7時間眠っていた。離陸の準備を終え、着陸船のエンジンに点火すると離陸した。それまで月周回軌道を回っていた司令船コロンビアとのドッキングにも成功し、彼らを待っていたコリンズ飛行士と再会を果たした。役割を終えた着陸船は月周回軌道に放置した。
隔離室の3人を訪ねたニクソン大統領
隔離室の3人を訪ねたニクソン大統領
それから3日後、司令船は地球の大気圏に再突入し、北太平洋のウェーク島の2660km東方に着水。近くで待機していた空母ホーネットから飛び立ったヘリコプターによって回収され、3人は月からの帰還を果たした。

時代を画する出来事だった

米国の作家、ノーマン・メイラーはルポルタージュ『月にともる火』(1972年)の中で、「20世紀はアポロ11号の打ち上げをもって終わった」と言い切った。人類初の月面着陸はそれほど時代を画する出来事だった。
人々の想像力を刺激し、ロマンをかきたててきた月。日本に「かぐや姫」伝説があるように、どの民族も月にまつわる物語を育んできた。アポロ11号以降、人類はどんな物語を紡(つむ)いでいるのだろうか。