涼しい風が気持ちいい、スポーツの秋到来です!サッカーはJリーグの優勝争いや残留争いが激しくなり、いよいよ佳境に入りました。今回はウェザーニュースキャスターの眞家泉さんが「オリジナル10」(Jリーグ発足時からあるチーム)の名古屋グランパスへ! なんと、キャプテンの田口泰士(たいし)選手と元日本代表の守護神、楢崎正剛(ならざきせいごう)選手からサッカーの“気象秘話”を聞いてきました!
サッカーは気象と戦うスポーツ
屋外で行われる野球やテニスは雨天中止がほとんどですが、サッカーには雨が降ったら試合を中止するという規定はありません(観客や選手などに危険が及ぶような雷や台風などの気象条件や自然災害によっては試合を中断、または中止、延期することはあります)。
つまり、サッカー選手は土砂降り、強風、豪雪の中でもプレーしなければならないのです。こういった気象との戦いもサッカーの楽しみの一つです。
今回取材に伺った名古屋グランパスには、サッカーとは切り離せないお天気を味方につける超重要人物がいました! 選手を裏方として支える「用具係のプロ」です。
お天気を読み解く日本一の「ホペイロ」
私も知らなかったのですが、サッカーでは練習に使うボールやスパイクまで全ての用具の管理を一手に引き受けるホペイロ(ポルトガル語で用具係の意味)と呼ばれる人物がいるのです。
サッカーの本場であるヨーロッパや南米ではホペイロは当たり前のようにチームに所属しているのですが、日本ではまだ数えるほどしかいないようです。今回取材に伺った名古屋グランパスには、日本人で初めてプロ契約した、知る人ぞ知るホペイロの松浦紀典(のりよし)さんがいます。
手ぶらで来て、手ぶらで帰る
名古屋グランパスでは「選手は手ぶらで練習に来て、手ぶらで帰る」というチーム理念があります。選手が練習や試合で自分のパフォーマンスやコンディション管理に集中できる環境を作るためです。
選手たちは試合や練習に使うスパイクなどの道具を一切持参せずとも、全て準備されているのです。しかも、用意された道具はそれぞれの選手個人に合わせて完璧に調整された「オーダーメイド」。練習後はその練習着やスパイクを所定の位置に置いて、また手ぶら帰るというわけです。
「ホペイロの仕事は、選手たちが毎日使用する道具の管理がメインになります。スパイクやユニホーム、キーパーグローブ、ボールなどの道具全般です。さらにドリンク類や夏場に選手たちが舐(な)める塩の準備など多岐にわたります」(松浦さん)
選手が試合や練習だけに集中するための「環境作り」が松浦さんの考えるホペイロの役割です。
天気予報は毎日チェック
選手たちの「環境作り」を徹底的に管理する上で欠かせないのが気象対策です。「1日に何回もウェザーニュースをチェックしています!」と松浦さん。話を聞けば聞くほど、サッカーと気象はとても密接に関係していたということに、改めて驚きました。
松浦さんは、「ホペイロとして1日の最初の仕事は天気の確認です。選手の道具は天候の変化に応じて準備します」とその日の気象が重要だと言います。
「スパイクやキーパーグローブは雨天用もあり、天候によってチョイスします。その他にも気圧や湿度によってボールの空気圧を変えたり、気温や日差しによって選手のドリンク温度やベンチ入り選手のケアの方法を変えたりなど、ホペイロの仕事と天候は運命共同体と言っていいほど密接なんです」(松浦さん)
特に試合中の天候の変化に対しては、より敏感に反応しているとか。
「試合中は1分1秒を争うので、雨が降り出してからでは遅いのです。天候の変化をいち早く察知できるよう、いつも空に意識を向けています。空気が変わったり雲行きが怪しくなったりすると、すぐにその天候に合った道具の準備に取りかかります」(松浦さん)
選手と道具のエピソードも披露してくれました。「メジャーリーガーのイチロー選手が道具を大切にする、という話は有名ですが、サッカー選手も同じです。やはり一流と呼ばれる選手はみんな、道具を大事にします。もちろん今日取材していただく、田口選手や楢崎選手も道具を大切に扱ってくれます(笑)」(松浦さん)
道具だけではなくメンタルケアも
「選手の特徴や好みを把握するためにも、積極的にコミュニケーションをとるようにしています」と語る松浦さん。選手からの信頼も絶大です。選手が安心してプレーできるよう道具の管理を徹底するとともに、選手のメンタルケアもされている気がしました。だからこそ「日本一のホペイロ」と呼ばれているのかもしれません。
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