キルギス通信 Vol.1

マイナス25℃の家畜バザールとお正月

文:市川亜矢子
キルギスという国名を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろう。すぐに中央アジアの国が思い浮かぶ人は大合格! そんな国に、国際協力機構のボランティアとして、2年間赴任した日本人女性がいた。遥か中央アジアの気候、文化、食、暮らし……。新鮮なまなざしで綴(つづ)った“キルギス日記”の隔月連載スタート!
市川亜矢子さん
PROFILE
市川亜矢子

2004年早稲田大学第二文学部卒。社会福祉士。地方公共団体にてソーシャルワーカーとして勤務の後2013年7月から2015年3月まで(独)国際協力機構のボランティアとして中央アジアのキルギス共和国の首都ビシュケクにある障がい者のための通所施設で活動。帰国後は元の職場に復帰し再びソーシャルワーカーとして勤務中。趣味は生活と食について考えること。特技は料理。

未知なる国、キルギス

私は、2013年の夏から約2年間、中央アジアにあるキルギス共和国という国に住んでいました。
キルギス共和国という国がどこにあるかをご存知ですか? 世界地図で見ると、ユーラシア大陸のちょうど真ん中に位置し、中国の西側、カザフスタンの南側あたり、ソビエト連邦を構成した国。かつては各地にシルクロードの要所が点在し、栄えた場所でもあります。
キルギスを代表する山脈「天山山脈」

キルギスを代表する山脈「天山山脈」

地球上で一番大きな大陸であるユーラシアは、様々な文化と様々な民族が長い歴史の中でダイナミックに移動し、時には出会い融合し、時には戦い決別し、その結果、現在の政治的な意味での国境の線引きだけでは文化も民族も単純明快に切り分けて説明できないほど非常に多様性のある地帯となっています。
キルギス共和国も、キルギス系、ロシア系、カザフ系、ウズベク系、ドゥンガン系など、多様な民族が共生しその多様な文化が根付いている国です。
多様な民族が共生するキルギス

多様な民族が共生するキルギス

私は(独)国際協力機構のボランティアとしてこの国の首都ビシュケクにある障がいのある人のための公立の通所施設で、以前からの本業であるソーシャルワーカーとして勤務し、日々キルギスの「現場」で奮闘していました。
南東部・ナリン市にあるスケートリンクにて

南東部・ナリン市にあるスケートリンクにて

さて、ここから、キルギスの歴史と文化に根ざした「家畜バザール」と、「キルギス流お正月」についてご紹介したいと思います。