SORA FRONT LINE Vol.9

箱根駅伝、気象が生んだドラマ

今や正月の国民行事となった箱根駅伝。そこには強風、横風、逆風、気温差、積雪、道路凍結など過酷な気象が明暗を分けたドラマがあった。2016年1月2〜3日の第92回大会はどうなるのか。

低体温症で大ブレーキ

5区で演じられたドラマ

今年の第91回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。駒澤大学が優勝候補筆頭だった。下馬評にたがわず、往路5区は小田原中継所で駒澤大学の馬場翔大(しょうた)が首位でタスキを受け取った。その時点で2位の青山学院大学と39秒差。馬場は前年も5区を走ったが、入りはそれを上回るペースだった。
5区はカーブが多い(写真は大平台)

5区はカーブが多い(写真は大平台)

ところが、7km地点手前で本格的な登りが始まると馬場に変調が現れた。体のキレが悪くなり、10km過ぎで青山学院大学の神野大地(かみの・だいち)に抜かれた。明らかなブレーキだった。残り2kmではフラフラになり、立ち止まるシーンもあった。
さらに明治大学の文元慧(ふみもと・けい)、東洋大学の五郎谷俊(ごろうたに・しゅん)にも抜かれたが、なんとか倒れこむように4位でゴールした。

走った記憶がなかった

ゴール後の検温は34.9℃だった。後に馬場は「箱根神社大鳥居(残り1.6km)をくぐった記憶がなく、気づいたら救護テントのなかで倒れていました」と語っている。典型的な低体温症だった。
箱根神社大鳥居から1.6kmがゴール地点

箱根神社大鳥居から1.6kmがゴール地点

往路首位の青山学院大学と4位の駒澤大学は7分25秒の差がついていた。翌日の復路で駒澤大学は盛り返すのだが、大手町でゴールを果たしたとき、首位の青山学院大学とは10分50秒差の2位だった。
タイムだけを見ると、馬場のブレーキがなくても青山学院大学は総合優勝したかもしれないが、勝負には流れがあるから結果は違ったかもしれない。なぜ馬場は低体温症を起こしたのか。