SORA気象アーカイブス Vol.8

元寇の「神風」と爆弾低気圧

『蒙古襲来絵詞』に描かれた元寇船
『蒙古襲来絵詞』に描かれた元寇船
鎌倉時代、2度にわたって元(蒙古)の大軍が日本に攻めてきた元寇(げんこう)。いずれも「神風」が元軍を襲って撃退したと言われている。はたして神風とはどのようなものだったのか。

「神風」は本当に吹いたのか?

戦闘後、船に戻った不自然さ

元寇は2度あった。最初は1274(文永11)年の「文永(ぶんえい)の役」で、2回目はその7年後の1281(弘安4)年の「弘安(こうあん)の役」だ。
通説によると「文永の役」は、朝鮮半島の合浦(がっぽ)から出陣した元軍がその年の10月20日に現在の博多湾に上陸し、迎え撃つ日本軍と各地で戦闘を展開したが、その夜に船に戻ったところを「神風」に襲われ、大打撃を受けたために引き上げたという。
元の皇帝フビライ・ハーン
元の皇帝フビライ・ハーン
この通説に疑問を持ち、元寇に長年取り組んできたのが九州大学名誉教授の服部英雄さん(日本史)だ。昨年11月には『蒙古襲来』(山川出版社)を著し、通説を批判して再解釈を試みた。
服部英雄名誉教授
服部英雄名誉教授