新発見! 京都お天気旅 Vol.6

座禅のススメ!

撮影:水野秀比古
京都の名刹(めいさつ)で座禅を組む──京都が好きで何度か訪れた人でも、旅行中に座禅を体験した人はそう多くはないはず。京都旅にプラスαの体験を求め、大徳寺・真珠庵へ向かった。

名刹「大徳寺・真珠庵」で座禅体験!

編集部が実際に座禅を体験してみた

編集部が実際に座禅を体験してみた

座禅体験の奥が深い理由

今回、座禅体験をさせていただくのは、大徳寺に20以上ある塔頭(たっちゅう)の一つ「真珠庵」。真珠庵は永享年間(1429〜41)、「とんち」で有名な一休宗純(いっきゅうそうじゅん)禅師を開祖として創建。雪の夜、舞った風とともに部屋に吹き込んだ雪が、月に照らされて真珠のように輝いた、という風雅な逸話から、一休禅師が「真珠庵」の名をつけたといわれている。
真珠庵

真珠庵

風雅な趣きの雪見障子

風雅な趣きの雪見障子

歴史にひたるぜいたく

真珠庵での座禅体験は、座禅そのものだけでなく、じつに豊かな歴史の中に身を置くことができる。というのも、真珠庵には庫裡(くり)、方丈(ほうじょう)、書院「通仙院(つうせんいん)」といった国の重要文化財に指定されているものも多い。
村田珠光(むらたじゅこう)作庭の「七五三の庭」、茶室「庭玉軒(ていぎょくけん)」、曽我蛇足(そがじゃそく)や長谷川等伯(はせがわとうはく)が描いたとされる襖絵(ふすまえ)などまさに歴史と伝統に彩られた世界が広がる。
紫式部が産まれた時にここの水を使ったといわれる「伝紫式部産湯(うぶゆ)の井戸」や、村田珠光が愛用したとされる「村田珠光遺愛の手水鉢(ちょうずばち)」などを間近に見ることができるのも真珠庵ならではだ。
紫式部産湯の井戸

紫式部産湯の井戸

ところが、真珠庵は通常、非公開。特別拝観もない。観光で大徳寺を訪れても真珠庵に入ることはできない。
ただし、座禅体験を申し込めば、これらの歴史的香りに包まれた静かな空間を味わえる。つまり、真珠庵を訪れることができるのは座禅体験の申込者だけということになる。重要文化財をはじめとする日本の宝の数々と接する機会に恵まれる贅沢な時間。500年の年月が育んだ歴史がもたらすかけがえのないひとときがこころをリセットしてくれることだろう。
庭に向かって座禅体験

庭に向かって座禅体験