雨の日も風の日も雪の日も、真夏日も嵐山を365日走り回る人力車夫は、お天気にとっても敏感だ。日頃から天候によって変わる町の姿を五感で知り、季節の変化を日々リアルに感じている。今回は雨の日にしか出会えない風情あるとっておきの嵐山を紹介してもらう。
イラスト:佐藤英里子
専用のカッパと傘を身につけた金谷さん
楽しみにしていた旅行も雨が降ると、なるべく影響の少ない屋内へ……と予定を変更する人も多いだろう。しかし雨が降ったからといって屋内にこもるなんて、もったいない。春には桜や新緑、秋には紅葉といったそれぞれの季節に違った魅力があるように、1年中嵐山を走り回っている人力車夫は雨の日には雨の風情があることを知っている。18歳のときから人力車を引っ張って7年の金谷(かなや)さんに、雨の日にしか出会えない嵐山ならではの"情景"について聞いた。
その前にまずは人力車の構造に注目してほしい。人力車は部品の一つひとつが職人たちの磨かれた技によってていねいに製作された、まさに日本の伝統工芸品。その値段は1台160万円ほどで、車1台分にも匹敵するほど高価な乗り物なのだ。