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エベレスト気象サポートのポイント

ウェザーニューズエベレスト気象担当より

気象が鍵を握る山頂アタック

山登りはいつもそうですが、とりわけエベレストを初めとするヒマラヤ8000m級のアタックは、シビアな気象判断が必要です。8000mを超える低酸素の高所の嵐はただちに命の危険につながります。


今回の三浦さんのように通常よりキャンプを増やしてアタックする場合は、安定した天候が継続しなければなりません。
事前の登山隊との打ち合わせでは、【一週間続く好天が必要】と聞いていました。 特に8000mを超える「デスゾーン(死の領域)」での行動ステージでは20m/sを超える強風や吹雪は大きなリスクに。
そのため、サポートに当たっては、15m/sを超える強風があるか、亜熱帯ジェット気流の動向の予測、また、高所で吹雪、大雪となる気圧の谷の予想を、上空10000m付近の天気図を使って解析予測を行ってきました。
また、決して数値予報だけに頼らず、必ず現地から送られてくる報告や、観測、衛星画像など”今を知る”ことを大切にしています。

※今回は23日を山頂アタックと風や天候条件を元に判断しました。
もし1日前の22日でも、1日後の24日にずれても8500mを超える高所で下山の際、烈風、吹雪の悪天に遭遇し、かなり危機的な状況になった可能性があります。そういう意味では非常にシビアな、ぎりぎりの判断でした。