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【花粉まとめ2024】花粉飛散量は全国平均では平年並、ただ地域差が非常に大きい

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2024/06/26 14:00 ウェザーニュース

ウェザーニュースで分析した、2024年春の花粉の飛散と花粉症の症状のまとめをお伝えします。

■ポイント ■

・飛散量:昨年・平年と比べ北日本は増加、西日本は大幅減
・飛散時期:短期間で本格飛散へ、スギ花粉はピークが2回
・花粉症の症状:つらい症状のピークも2回

飛散量:昨年・平年と比べ北日本は増加、西日本は大幅減

ウェザーニューズ独自の花粉観測機「ポールンロボ」が観測した2024年春の花粉飛散量は、全国平均で昨年比54%、平年比100%となりました。飛散量が多かった昨年と比べると半分程度、平年と比べると同程度の結果でした。

ただ、飛散量の傾向はエリアによって差が大きくなっています。北日本や関東、東海では図のように平年を上回った地域が多く、北日本を中心に飛散量の多かった昨年をも大きく上回りました。一方で、西日本では昨年・平年と比べると、ともに大きく下回りました。

飛散量を左右した要因は?

花粉の飛散量は、花粉を生成する雄花の生長と飛散時期の天候に左右されます。雄花の生長は主に前年の夏の気温や日照時間、年ごとの花粉の増減傾向(飛散量が多い年と少ない年が交互に訪れる傾向)に影響を受けます。

昨年の夏は、西日本で前線や台風の影響などで日照時間が平年並か平年を下回る地域がありました。また、昨年春の花粉の飛散量が非常に多くなった反動も大きく、今年の飛散量は昨年・平年を大きく下回ったと考えられます。

一方、東日本も昨年春の飛散量は多かったものの、昨年夏の天候が雄花の生長に適していたため、今年は平年並から平年を上回る飛散量となり、関東や東海の一部では昨年と同程度の飛散量となりました。

東北北部から北海道では昨年春の飛散量が平年を下回った反動と夏の天候が雄花の生長に好条件だったことが重なり、昨年・平年を大きく上回る飛散量になったとみられます。

飛散時期:短期間で本格飛散へ、スギ花粉はピークが2回

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2024年春の花粉飛散の特徴は、2月上旬から中旬の記録的な暖かさの影響で飛散開始から本格飛散に至る期間が短かったことと、気温の変動が大きくなった影響でスギ花粉の飛散ピークが2回あったことです。

飛散開始からすぐ本格化

九州から東海では平年並から平年より数日早く花粉シーズンを迎えたところが多く、北陸や東北太平洋側では平年より10日程度早く花粉シーズンを迎えました。

2月中旬には記録的な暖かさの影響で飛散開始の直後から飛散量が急増しました。九州〜東北太平洋側の各地で飛散が本格化し、飛散開始から短期間(5日以内)で飛散が本格化したエリアが多くなりました。

東京など関東南部を中心にピークが2回

2月下旬から3月は気温の変動が大きくなったため、東日本・西日本のスギ花粉の飛散ピークは、場所によるばらつきがありました。

九州や静岡県など飛散開始が比較的早かった地域では2月下旬がスギ花粉のピークとなり、東日本・西日本の多くのエリアでは3月中旬に、関東南部や、東海から中国・四国地方の一部では2月下旬と3月中旬の2回、特にスギ花粉の飛散量が多くなりました。

花粉症の症状:つらい症状のピークも2回

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花粉症の症状のつらさはどうだったのか、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた症状報告(のべ127,299通)を分析しました。

その結果、花粉症の症状が「つらい」と感じた方の割合は全回答数の27%となり、昨年の23%よりも4ポイント増加しました。

地域別の結果を昨年と比較すると、北海道や東北北部、東海は昨年よりつらい割合が増加しており、特に北海道は22ポイント増と違いが顕著です。これらの地域では、花粉の飛散量が平年・昨年を上回り、花粉症の症状を強く感じた方が多かったのではないかと考えられます。

西日本は花粉の飛散量が昨年・平年ともに大きく下回ったものの、つらい割合に大きな減少は見られませんでした。飛散開始からすぐに飛散が本格化したことが影響した可能性が考えられます。
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今年と昨年の症状報告の変化を比較すると、2つの特徴がありました。

1つ目は、今年はピークが2月下旬と3月中旬の2回で、これはスギ花粉の飛散ピークと一致しています。

2つ目は、今年は昨年よりも4月中旬以降の「つらい」割合が高くなっています。これは北海道での「つらい」割合が増えたことが影響しており、シラカバ花粉の飛散時期とも一致しました。

全体を通してみると、今年は花粉症が出た時期にばらつきがあったものの、2月から「つらい」と感じる方の割合が昨年よりも多く、「つらい」割合が減少したのも4月下旬と遅めでした。花粉に敏感な方にとっては、「つらい」と感じる期間が長くなったことがわかります。

なお、2025年春の花粉飛散傾向は10月頃に発表予定です。
» ウェザーニュース 花粉飛散予想