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関東大震災から100年 相模トラフ沿いのM8クラスの首都直下地震

2023/09/01 06:51 ウェザーニュース

今日は防災の日です。今からちょうど100年前、1923年(大正12年)の9月1日、11時58分に神奈川県西部を震源とするM7.9の地震が発生しました。関東大震災をもたらした「大正関東地震」です。

東京大手町をはじめ首都圏の広域に最大震度6の破壊的な揺れをもたらし、死者・行方不明者は10万5千人あまりにのぼりました。昼食時と重なったことで多数の火災が発生し、死者の9割は火災が原因で亡くなったといわれています。

※震源要素は気象庁、被害統計は理科年表より。当時の震度階級は0〜6の7段階。

「海溝型地震」でありながら「直下型地震」

地震災害は「海溝型地震(プレート境界型地震)」と「直下型地震(内陸型地震)」に分けられることがあります。

海溝型地震はプレートの沈み込み帯の付近で発生し、その規模はM8〜9に達することもある巨大地震タイプです。震源が陸地から遠いことが多いため、エネルギー規模の割に揺れは減衰して小さくなりやすいものの、津波の被害が発生しやすい等の特徴があります。

一方の直下型地震は陸のプレート内の活断層などで発生し、その規模は最大でM7程度までのものが多くを占めます。ただし、地震のエネルギー規模が海溝型地震に比べて小さくても、震源が近いことで揺れが非常に大きくなることが特徴です。

関東大震災をもたらした大正関東地震はどちらのタイプだったかというと、実は両方にあてはまるといえます。

大正関東地震は、フィリピン海プレートが陸側のプレートに沈み込む「相模トラフ沿い」のプレート境界で発生したと考えられています。海溝型地震の例に洩れず、津波の被害も発生しています。静岡県の熱海では12mの津波が押し寄せました。

ただ、相模トラフのプレート境界は陸地に近いため、「震源域」は陸地の直下にひろがりました。岩盤の破壊が始まった「震源」は神奈川県西部とされていて、岩盤の破壊が起こった全領域「震源域」は相模トラフに沿った相模湾、三浦半島、東京湾南部、房総半島南部に達していたと考えられています。

この相模トラフ沿いでは180年〜590年に一度の周期で巨大地震が起こっていて、大正関東地震の前には1703年に元禄関東地震が発生しています。

大正関東地震からは今年で100年ということで、過去の周期から考えると巨大地震が差し迫っているとまではいえませんが、巨大地震は必ずしも一定の周期で起こるわけではないため油断はできません。

「首都直下地震」の2タイプ

関東大震災 東京駅前の焼け跡、日本橋方面
また、首都直下地震に油断ができない理由は周期の面だけではありません。

内閣府の首都直下地震モデル検討会では、首都直下地震を大きく2つに分類しています。ひとつは関東大震災をもたらしたような「(1)相模トラフ沿いのM8クラスの地震」。もうひとつは「(2)首都直下のM7クラスの地震」です。こちらは前者の周期に関係なく発生します。

さらに、(2)首都直下のM7クラスの地震は考えられるタイプがひとつではありません。首都直下は太平洋プレート、フィリピン海プレート、陸側のプレートなどが複雑に重なりあっていて、断層型の地震を含めて様々な種類の地震が発生します。いずれのタイプもM7クラスの規模になる可能性があり、そうなると首都圏では(1)相模トラフ沿いのM8クラスの地震に匹敵するほどの揺れが襲うと考えられます。

首都圏以外も油断できず

震度1未満の地震を含めると、地震の起きない地域はないといえる
日本列島はプレート境界に沿って位置しているため、プレートの沈み込み帯で巨大地震が発生するほか、陸側のプレート内部にもひずみがたまりやすく、いたる所で地震が発生します。

近年恐れられている南海トラフ巨大地震をはじめ、日本海溝沿いや琉球海溝沿いの巨大地震、数千に及ぶ内陸の活断層による大地震、そして未知の活断層による地震など、地震の起きない地域はないといえるほどです。

日頃から地震災害への備えを万全にしておくのが理想ですが、このような節目のタイミングであらためて防災・減災について見直すことが重要です。

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