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天気予報精度と予報現場の取り組み ウェザーニュース2023年上半期

2023/08/16 18:42 ウェザーニュース

テレビやWEBサイト、アプリで目にする天気予報。
毎日の生活に欠かせない天気予報ですが、実は発表する機関や会社によって予報が異なることを知っていますか?ウェザーニュースでは、様々なデータを元に独自に天気予報を行っています。

ウェザーニュースが最もこだわっているのが天気予報の精度。
予報センターでは日々、予報技術者たちが天気予報の評価と改善を繰り返し、予報精度の向上に取り組んでいます。

今年(2023年)の1月〜6月の天気予報精度の検証を行いました。

2023年1月〜6月の精度は気象庁を上回る

天気予報精度評価(2023年1月〜6月)
ウェザーニュースでは、朝5時に発表した今日の天気予報を対象に、2つの方法で予報の精度を評価しています。1つ目が【降水捕捉率】、2つ目が【適中率】です。

降水捕捉率について2023年1月~6月を検証した結果、ウェザーニュースの降水捕捉率は1月から6月まで全ての月で90%を超え、高い水準を維持していました。気象庁がホームページ上で発表しているものと比較すると、大幅に高くなっています。

また、適中率について2023年1月〜6月を検証した結果、ウェザーニュースの各月の適中率は84%〜92%となり、半年間トータルで見ると89%となりました。気象庁がホームページ上で発表しているものと比較すると、各月とも同等かやや上回っています。

以上の結果から、この6か月においては、ウェザーニュースと気象庁の天気予報を比較すると、雨が降る・降らないの予報の適中率では気象庁と同等かやや上回っており、見逃しはウェザーニュースの方が少ない(降水補足率の精度が高い)ことがわかります。

天気予報が最も見られる朝の時間帯で精度を評価

では、ウェザーニュースの予報は日々どのように作られ、発表されているのか。
予報精度向上のための取り組みについて、予報センターで日々、予報業務に当たっている柳井さんにお話を聞きました。

「ウェザーニュースでは、当日の朝5時に発表した予報を対象に評価を行っています。
これは気象庁がHPで公開している評価方法に準じていますが、それと同時に、朝起きてから家を出るまでに天気予報を見る方が多いため、1日の中で最も天気予報が見られる時間帯と言っても過言ではありません。
予報センターでは365日、毎日欠かすことなく朝5時に向けて全国約40万地点にも及ぶ天気アイコンを調整・検討しています」

前日の夜から翌朝にかけて全国約40万地点の天気アイコンを精査

気象予測モデルの整合性を確認しながら予報
ウェザーニュースが発表している天気予報は「当日の天気予報」「翌日の天気予報」「週間予報」「長期予報」など様々で、それぞれ担当者が分かれて予報業務に当たっています。

「朝5時までの天気アイコンの調整は、夜勤の担当者が行います。
夜に出社して、日中の担当者からの翌日の天気の引き継ぎを踏まえつつ、最新の見解および夜間の天気状況を確認・検討しながら予報を調整していきます。天気予報の元となるモデルの計算結果の更新が定期的にあるので、新しい情報が入ったら、都度確認します。
ウェザーニュースでは複数の気象予測モデルを用いているので、それぞれのモデルの傾向やくせを考慮し、実際の天気と照らし合わせた整合性なども確認しながら予報を行います。ユーザーの方からいただくウェザーリポートや天気報告のチェックも欠かせません。
降水捕捉率・適中率ももちろんですが、それだけではなく、天気予報を実際に見るユーザーの方に、雨や風の強さ、暑さや寒さなどのメッセージをどう届けるかを重視しながら予測を行い、雨はもちろん、晴れや曇りも含めて合計33種類の天気アイコンから最適なものを決定しています」

>>【天気アイコン】全33種類の天気アイコンの詳細はこちら

実況を元に天気予報をリアルタイムで修正・更新

リアルタイムで予報を調整
朝5時までに予報を整えたら終わりではありません。
お昼に天気予報を見ると「朝見た天気予報と違う」と感じたことがあるかもしれません。

それは、アプリやサイトを見てくれた方に、その時一番正確な予報を届けるために、リアルタイムで予報を調整しているためです。
夜勤から当日の予報の担当へ引き継ぎを行い、時々刻々と変わる天気の実況を確認しながら、必要に応じて予報を修正していきます。

「様々な観測データやユーザーの皆さんからいただくウェザーリポート、天気報告を常にチェックして、予報を修正していきます。
その中には、すでに過ぎた事象に対するアップデートでの修正もあれば、元々の予想からのズレの修正など様々です。
ゲリラ雷雨など突発的な雨はできるだけ早くお伝えできるよう、目を光らせています」

ユーザーからの「はずれ報告」も分析

時には予報が外れてしまうこともあります。

予報センターでは日々予報の評価を行い、出した予報を振り返っています。
外れてしまった事例は深掘りをして、予報センターの技術者全体に共有され、次回以降の予報に活かされます。

また、ユーザーの方から「はずれ報告」もいただいています。「はずれ報告」はウェザーニュースのアプリとWEBサイトから、ユーザーの方に「天気予報が外れている」と感じた際に送っていただいている報告です。

現地の天気は現地の方が一番よく知っています。天気が「外れている」という報告も大切な情報です。皆さんからいただくこのはずれ報告も、予報センターで分析し、さらに良い予報を目指すために活用しています。

「公表している予報精度は、”朝5時発表の今日の天気予報”ですが、予報センターでは毎時、毎日、出した予報の評価を行っています。
天気予報が当たる時も、時には外れてしまうこともあります。
私たち予報技術者は、評価を真摯に受け止めて、一つ一つ要因を分析し、次回以降の予報に活かすことを意識しています。
予報技術者それぞれの経験値としても、チーム全体のノウハウとしても、まずは予報を振り返り、把握し、分析することが大事と考えています」

予報精度を高める意義とは

最後に、これほどまでに予報精度にこだわる理由について話してくれました。

「普段の天気予報から信頼していただかないと、台風や大雨などで災害が差し迫っているような ”いざ” という時に信頼してもらえないと思っています。
普段から天気予報が当たっていないと、また外れるのでは?と思われてしまいます。
ただ、より良い予報は1日何かに取り組んで劇的に改善するものではなく、日々の積み重ねが重要だと思っています。
これからも一つ一つの結果を積み重ねて、真摯に向き合い、より当たる予報を目指していきたいです」

ウェザーニュースでは、これからも天気予報の評価・改善を継続して行っていきます。
評価と改善を継続することで予報技術者たちがノウハウを蓄積し、より精度の高い予報を発表できるように努めます。さらに、ユーザーの皆さんからいただく天気報告(ウェザーリポート)の分析、AIによる独自の予報アルゴリズムの構築などに取り組み、さらなる天気予報精度の向上を目指していきます。

>>【予報精度向上への取り組み】予報のはずれを感じたらこちらへ報告

【柳井 剛】
ウェザーニュース予報センター所属。千葉県袖ケ浦市出身。入社13年目。予報精度改善チームにて精度検証・改善を行っている。

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参考資料など

降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html