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“光老化”は侮れない 今すぐ知っておくべき紫外線の怖さ

2023/05/24 05:05 ウェザーニュース

ここのところ急激に強くなった陽射しに、肌への影響が気になります。

ウェザーニュースが5月21〜22日に実施した日焼け止めに関するアンケート調査によると、男性は「年中塗っている」2%、「もう塗っている」が12%だったのに対し、女性はそれぞれ33%、36%とすでに多くの人が紫外線対策を始めているようです。

また、先月と比較して、「もう塗っている」の割合が男女ともに6ポイント増加しました。
陽射しが強まるにつれ、紫外線対策もしっかりしたいところです。

これから油断しないためにも、紫外線の種類や特徴、さらには意外と知られていない紫外線がもたらす肌への影響から対策について、野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生に伺います。

肌の老化原因の8割は紫外線!? 

まずは、加齢による老化とは異なる“光老化(ひかりろうか)”について、野村先生に解説していただきます。

「年を重ねれば、肌も骨や筋肉、内臓など他の部位と同じように老化していくのは自然なことです。しかし、加齢で手や首筋などシミ、しわなどが生じていても、太ももの内側などは白くすべすべしていることが多いですね。

実は、“肌の老化の原因は8割が光老化”ともいわれていて、シミや深いしわ、イボなどは、長年にわたって紫外線を浴びたダメージの影響が大きいとされています。こういった紫外線による皮膚への慢性障害を”光老化”と呼びます。

光老化は、老化による変化にプラスされる形で起こると考えられています。肌の老化には、生活スタイルや食事、体質などさまざまなことが関わるので、光老化の影響も人によって異なりますが、紫外線を軽視してはいけないことは確かです」(野村先生)

光老化が起きる理由

なぜ、光老化が起きてしまうのでしょうか。

「太陽から地球に届く光には、目に見える可視光線のほか、それより波長の短い紫外線(UV)なども含まれます。紫外線は波長により性質が異なり、人体にもさまざまな影響を与えます。

例えば、波長の短いUV-Cは大気層(オゾンなど)で吸収されるため地表にはほとんど届きませんが、UV-Cより波長が長めのUV-Bは一部が地表に到達します。UV-Bは、日焼け(サンバーン)を引き起こし、シミや皮膚がんにもつながります。

UV-Bより波長の長いUV-Aは、雲や窓ガラス、衣服などを通り抜けやすい性質です。皮膚の奥まで到達し、真皮のコラーゲンを傷つけてしわやたるみの原因となります」(野村先生)
太陽の光を浴びることは健康によいことではないでしょうか。

「太陽光を浴びることでビタミンDが生成されたり、アトピー性皮膚炎などいくつかの皮膚疾患に光線治療を行うなど、人体にとって役立つこともあります。

ただ、紫外線は悪影響の方が多いのです。日焼け、免疫抑制、光過敏症のような急性のものから、長期のダメージの蓄積によるシミやシワ、たるみのほか、白内障、皮膚がんを発症することもあるのです。

5月は地上に夏並みの紫外線が降り注ぎます。しっかり対策を取る必要があります」(野村先生)

夏前から徹底したUVケアを

野村先生は、朝起きて洗顔をしたら保湿ケアの後に日焼け止めも必要だといいます。

「太陽がじりじりと照りつける夏は多くの人が注意しますが、紫外線は1年中降り注いでいるものです。もちろん5月も紫外線対策は欠かせません。露出する肌には、日焼け止めをきちんと使用しましょう。

ポイントは2つ、「適量を」「ムラなく」塗ることです。メーカーの推奨する適量を使い、首の後ろや肩など塗り残しがないよう、ていねいに伸ばしましょう。2度塗りするとさらに効果的です。また、汗をかいて拭いたら、必ず塗り直します」(野村先生)

外出の機会が少ない、日傘や帽子を使用しているなどを理由に油断してしまうのもよくないといいます。

「洗濯物干しやゴミ捨てなど、家にいるつもりでも意外に紫外線を浴びる機会は多いものです。また、家の中でも窓際などでは窓ガラスを通して紫外線(UV-A)が届きます。日傘や帽子などは、紫外線を遮る効果は限定的です。適切に日焼け止めを使うことが大切です」(野村先生)

紫外線のダメージが蓄積しないよう、毎日肌をケアしていきましょう。

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