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暑くなる時期に知っておきたい 白シャツなどに付いたシミの応急処置法

2023/05/19 05:06 ウェザーニュース

夏を感じさせるような陽射しの日が続くようになると、白地のTシャツやYシャツの出番も増えてきます。

涼しさを感じさせる白いシャツですが、悩みはどうしても食べものなどのシミが目立ってしまうこと。シミにはさまざまなタイプがあり、すぐに落とさなかったり対処法を誤ってしまったりすると、落ちなくなってしまうことも多いそうです。

衣服に付いてしまったシミの適切な応急処置法などについて、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート(福島県須賀川市)の鈴木和幸代表に伺いました。
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まずシミのタイプを見極める

気温25℃を超す夏日もあちこちで観測される時期になりました。白色系のシャツの出番も増えていますが、どうしてもシミが目立ちます。シミ汚れを落とそうとしたときに、注意すべきポイントはどのようなものでしょうか。

「シミの『種類』を見極めることが重要です。ひと口にシミといいますが、原因となった物質によって汚れを落とすための適切な方法や使用する洗剤は異なります。

シミには大きく分けて水に溶ける『水溶性』、油を含んで水をはじく『油性(脂溶性)』、水溶性と油性が混じった『混合性(複合性)』と、いずれでもない『不溶性』の4種類のものがあります。

白いシャツに付着してしまったシミの性質がどれにあたるのかをまず、理解したうえでの対応が必要となります。そのうえで、できるだけ早く汚れを落とすことがもっとも重要です。

シミはこすると汚れの範囲が広がり、繊維の奥に入り込んでしまいます。こすらず、押さえるように移し取る必要があるものだと認識しておいてください。

また、シミを付けやすい食事中にやってしまいがちでNGなのは、店側が提供するおしぼりで汚れを拭き取ろうとすることです。

滅多にないことですが、おしぼりには消毒用の塩素系洗剤の成分が残っている場合があり、シルクなどデリケートな素材の衣類だと、それによって脱色してしまう可能性があるからです」(鈴木さん)
水溶性や油性など、シミの種類を簡単に見分ける方法はありますか。

「シミがどんなものによるのかわからないときは、シミに水を数滴落としたりスプレーで水分を吹き付けたりしてみてください。

大まかですが、シミ汚れに水がしみ込んで広がれば水溶性。水をはじくようでしたら油性のシミだと判断できます」(鈴木さん)

水溶性のシミ落とし方

水溶性のシミにはどのようなものがありますか。

「調味料では醤油、コーヒー、果汁、ビール、ワイン、血液などが水溶性のシミです。水溶性と表示されたボールペンなどのインクはもちろんですが、意外なところでは汗ジミも水溶性です。

付けたばかりであれば醤油、コーヒーは割合に落ちやすいのですが、果汁やワインなどはそれらと比べると落ちにくいといえます」(鈴木さん)

水溶性のシミ落としはどのように行うのでしょうか。

「水溶性のシミはすばやく処置をすれば、比較的簡単に取ることも可能です。シミが付いたらすぐに、ティッシュやハンカチなどでシミの水分吸い取ります。こすらないことがポイントです。

まず、汚れた部分の裏側に乾いたティッシュペーパーかハンカチなどで当て布をします。布製品は色落ちしないものを使ってください。

表側からティッシュやハンカチなどでトントンとたたくようにして、シミを汚れのない部分にずらしながら、汚れが見えなくなるまで当て布に移していきます。最後に別の乾いたティッシュかハンカチなどで水分を除いてください。

シャツが脱げるなど、可能な場合はシミの表側に当て布をして、裏側からたたくと汚れ落としの効果が高まります。

自宅などで手元に中性洗剤があるようでしたら、ティッシュやハンカチに含ませてからたたき、移し取ってください。その後にもう一度水を含んだティッシュやハンカチでたたいて、洗剤を除去します」(鈴木さん)

シミは気が付かないことも多くあります。帰宅後に水溶性のシミ汚れに気付いた場合はどうすればいいでしょうか。

「応急処置でシミが落ち切らなかった場合も同様ですが、気付いたらすぐにシミの部分に液体洗剤を付けて、洗濯機で部分洗いを行ってください。

落ちない場合は漂白剤を使い、つけ置き洗いをします。白い衣類ではなく色ものや柄ものなら、酸素系漂白剤を使用してください」(鈴木さん)

油性のシミ落とし方

油性のシミにはどのようなものがありますか。

「チョコレート、バターなどの食品に加えて、口紅やファンデーションなどの化粧品や機械油などです。

水溶性のシミと同じように、付いたらすぐにティッシュや乾いた布でシミを押さえ、汚れを取り除きます。

シミの裏側に乾いた布を当て、水で薄めた台所用の中性洗剤かハンドソープを付けた布で軽くトントンとたたいてシミを移し取ります。洗剤が残らないように水ですすいだのち、しっかりと乾かしたら応急処置は完了です。

ただし、油性のシミは、水溶性のシミと比べて落とすことが難しいものだと理解してください。

帰宅したらすぐに洗うことが大切です。シミがついた部分に酸素系液体漂白剤を直接付けて、あとは洗濯機で通常どおりに洗ってください」(鈴木さん)

混合性のシミ落とし方

混合性のシミにはどのようなものがありますか。

「食品ではカレーやミートソース、マヨネーズ、ドレッシング、近年人気のラーメンやつけ麺のスープなどが挙げられます。

水溶性と油性が混じった混合性のシミは、落としにくいシミです。外出先などではひとまず油性のシミと同じような応急処置をしておきます。

水溶性の汚れが油でコーティングされているため、洗濯用洗剤だけでは簡単には落ちません。できるだけきれいに落とすためには、油性の汚れを落としてから水溶性の汚れを落としていくのがコツです。

シャツの裏側に当て布をして、シミ部分に油を分解させるための成分が配合されている食器用洗剤の原液を塗ってなじませ、40℃くらいのぬるま湯でもみ洗いして、汚れを押し出します。

お湯の濁りがなくなるまですすぎ、終わったら普通に洗濯機で洗えば完了です。固形せっけんやクレンジングオイルも効果があります。ただし、クレンジングオイルは水に弱いため、濡れている衣類に使うと乳化して油汚れを落とす力が低下します。シャツが十分乾いている状態でのみ、使用して下さい」(鈴木さん)

不溶性のシミは水洗い不可

不溶性のシミについては。

「不溶性のシミとは、水にも油にも溶けない極めて落ちにくいタイプのものです。具体的には泥や錆(さび)、墨汁やボールペンのゲルインク、香水などが挙げられます。

これらのシミは洗濯機で洗ったり、台所用洗剤やクレンジングオイル、ベンジンなどを使ったりしても容易に落ちないことも多いので、付いたらすぐに信頼できるクリーニング店へ依頼することをおすすめします」(鈴木さん)

シミ落としの際に注意すべきポイントはほかにありますか。

「家庭でのシミ抜きはリスクも高いので注意してください。無理矢理シミを取ろうとすれば、衣類のスレや脱色などにつながる恐れもあるので、水洗いできないものや脱色のリスクがあるものは無理せずクリーニング店に持っていきましょう。

また、衣類の素材について知っておくことも大切です。

たとえば、リネンやウールは水に濡らすと繊維が伸縮し、シルクやレーヨンは水に弱く傷みやすい素材ですので、シミ抜きによって衣類そのものの状態が悪化してしまうことも少なくありません。

衣類のタグで洗濯表示を確認して、自宅で洗えるか専門店でのクリーニングが必要かをチェックします。前述の方法でシミ落としの応急処置を行い、洗濯機洗いや手洗いがOKでしたら帰宅後すぐに洗濯しましょう。

水洗い不可の場合は、なるべく時間を置かずにクリーニング店へ持ち込む必要があります。大切にしている高価な衣類も、シミが付いたらためらわずにクリーニング店に任せたほうがいいでしょう。その際には、シミがどんな種類の汚れであるかを、きちんと店側に伝えてください」(鈴木さん)

これからの時期、さらに出番が増える白いシャツ。お気に入りのものを長く快適に着続けるためにも、シミ落としのポイントを理解し、適切な応急処置と洗濯を行い、場合によっては専門店への持ち込みもためらわないようにしましょう。
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