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モンシロチョウやアゲハチョウ、春と夏で模様や大きさが変わる?

2023/05/09 05:09 ウェザーニュース

季節が春から初夏へ向かい、道端に咲く花の数が多くなると、チョウを見かける機会が増えてきます。今年もお天気のいい日は外に出て、モンシロチョウやアゲハチョウに出会いたいですね。

ところで、身近なチョウであるモンシロチョウやアゲハチョウは、春と夏で見た目が違うことをご存知ですか? なぜそうなるのか、チョウの生態に詳しい大阪市立自然史博物館の学芸員、長田庸平(おさだ・ようへい)さんに伺いました。

チョウとはどんな生き物なのか?

チョウ(蝶)とガ(蛾)は同類だと聞いたことがありますが、あらためてチョウとはどんな生き物なのでしょうか。

「チョウは、ガと同じ鱗翅目(りんしもく)の昆虫です。鱗翅目は、翅(はね)に鱗粉(りんぷん)があり、成虫は口吻(こうふん)を持ちます。口吻は花の蜜や樹液を吸うための管のようなものです。ほとんどのチョウが口吻を持っているのに対し、ガには口吻を持たないものもあります。

数としてはチョウよりもガのほうが圧倒的に多く、ほとんど草食性ですが、肉食性の種もいます」(長田さん)

チョウの1年の生活は?

モンシロチョウやアゲハチョウの、1年の生活はどうなっているのでしょうか。

「チョウは、卵→幼虫→サナギ→成虫という完全変態を繰り返し、この一連のまとまりを一世代と呼びます。

モンシロチョウやアゲハチョウの場合、春型は4~5月に産卵し、卵が孵化(ふか)して成虫に羽化(うか)するまで1ヵ月ほどかかります。羽化とは、サナギから成虫になって飛び立つことです。

秋に産卵された卵は、孵化したら晩秋にサナギにまで成長し、サナギのまま翌春まで越冬します」(長田さん)

いつ産卵されるかによって、すぐにチョウになるか、サナギのまま越冬するかが決まるのですね。1年でどのくらい世代を繰り返すのでしょうか?

「サナギで越冬する期間を含めて、モンシロチョウやアゲハチョウは年に3~4回ほど世代を繰り返します。かなり、成長のスピードが速いといえるでしょう」(長田さん)

チョウの春型と夏型の違い

チョウは春と夏以降で見た目が違うそうですが、どう違うのでしょうか。

「春型は、越冬世代です。越冬したサナギが羽化して飛び立つのが春なので、春型と呼ばれます。夏型は、越冬しません。一連の変態を経て夏のうちに飛び立つので、夏型と呼ばれます。

春型のチョウと夏型のチョウは、見た目が違います。大まかに言うと、春型は小型で明るい色、夏型は大型で黒っぽい色、という違いです。

モンシロチョウの春型は小型で黒い紋が小さく、ほとんど黒い紋がない成虫もいます。夏型はより大型で、黒い紋がはっきりしています。アゲハチョウも春型は小型で、色彩は明るめです。それが夏型になると大型で黒い部分が目立つようになります」(長田さん)

今頃見られるチョウは春型、初夏以降に見られるチョウは夏型、ということになります。

散歩のときなどに、大きさや色合いがどれくらい違うか、観察してみるのもおもしろいかもしれません。

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