facebook line twitter mail

知らなきゃ損? 栄養を逃がさない玉ねぎの辛み抜き方法

2023/04/11 05:05 ウェザーニュース

玉ねぎは1年を通じてスーパーマーケットや青果店に並んでいますが、この時季は「新玉ねぎ」が、「生でサラダに最適」などと売られているものが目立つようになってきました。

玉ねぎを生で食べるときに気になるのが辛みです。ウェザーニュースで「生の玉ねぎ、辛みは気になる?」というアンケート調査を実施したところ、男女ともに「気になるが食べる」が最も多い回答で、全体の半数近くを占めました。女性はより辛みが気になる人が多いようで、「気になって食べられない」人も2割近くに上ります。
生食する際に気になる辛み抜きの適切な方法などについて、料理家で食育インストラクターの小松友子さんに解説して頂きました。

新玉ねぎは「生」で、ほかの玉ねぎは「乾燥」

玉ねぎは通年販売されている印象の強い野菜ですが、新玉ねぎといつもの玉ねぎには、どのような違いがあるのでしょうか。

「新玉ねぎは『生』で、ほかの玉ねぎは『乾燥』させて出荷しているという違いです。

北海道を除いた地域で収穫される玉ねぎの『旬』は4月から5月にかけてです。実は、ほかの季節に出回っている玉ねぎも春に収穫されたもので、表皮を乾燥させることによって保存性を高め、貯蔵されているのです。

おもに『黄玉ねぎ』という品種が流通していますが、新玉ねぎ以外は表皮が黄褐色で、触れるとぱりぱりではがれます。

これに対して新玉ねぎは収穫後に乾燥処理をせず、生の状態のままで出荷され、『白玉ねぎ』という品種が主流です。水分が多くみずみずしく、比較的辛みが少なく、葉が付いたまま出荷されて店頭に並んでいることもあります。

旬のこの時季に黄玉ねぎでも乾燥させずに出荷されますので、こちらの場合も『新玉ねぎ』として販売されています」(小松さん)

なお、玉ねぎの栽培が国内総生産量の半分を占める北海道では春に種をまき、秋に収穫して貯蔵し、ほかの地域が旬を迎える直前の春先まで出荷しています。玉ねぎが年間を通じて店頭に並んでいるのは、そのためだそうです。

玉ねぎに含まれる栄養成分

玉ねぎは「万能野菜」と呼ばれるほどさまざまな料理の食材として使われていますが、健康にいい食材としても注目されています。玉ねぎにはどのような成分が含まれているのでしょうか。

「玉ねぎの特長といえる有効成分は、『硫化アリル』と『ケルセチン』です。

硫化アリルは玉ねぎ独特の辛みと香りの素でもあり、血栓の生成予防や解毒・殺菌作用を助けます。そのため、血液をサラサラにする効果や動脈硬化の予防、ダイエットにも効果があるとされています。さらにビタミンB1の吸収を助ける働きもしてくれます。

ケルセチンはポリフェノールの一種で、血流をよくし、悪玉コレステロールを減らし、脂肪の吸収を抑えたりするために役立つとされています。玉ねぎの皮が黄褐色をしているのは、ケルセチンの色素によるものです。

硫化アリルもケルセチンも、実は必ずしも『栄養価が高い』といえる成分ではないのです。それにもかかわらず玉ねぎが健康食材として注目されるのは、これらの成分が、ビタミンB1など重要な栄養成分の吸収を助ける働きをしてくれるためなのです」(小松さん)

玉ねぎをビタミンB1が多く含まれる豚肉と一緒に食べると、栄養の吸収を促進してくれます。また、生の玉ねぎを調理する際などに涙が出るのは、硫化アリルの働きによるものだそうです。

栄養成分が抜けずに辛みを抜く方法

硫化アリルやケルセチンといった栄養成分を逃さずに、生の玉ねぎ独特の辛みを上手に抜く調理法はありますか。

「水にさらすと辛みは和らぎシャキシャキとした食感になりますが、辛みと同時に栄養成分も逃げてしまいます。とくに硫化アリルは水溶性で水に溶け出しやすいという特性がありますので、空気にさらして辛みを抜く方法が効果的です。

まず、玉ねぎの皮をむきます。むいたら半分に切って、辛みがとくに強い上の部分を切り落とします。辛みを早く抜くには繊維を断ち切るように、繊維に対して垂直に切ってください。また、なるべく薄くスライスするのもポイントなので、スライサーを使うのもオススメです。

スライスした玉ねぎは、できるだけ重ならないように広げます。なるべく空気に触れる部分の多いほうが、辛みが早く抜けてくれます。広げたままで1時間ほど置いておいてください。そうすると“ちょっぴり辛みを感じるくらい”まで、辛みが抜けてくれます。

さらに1時間置いておくと“お子様でも食べられるくらい”、一晩置くと辛みはほぼゼロになります。

空気にさらすこの方法は栄養分が抜け過ぎずに、辛み成分を蒸発させることができます。ぜひ試してみてください」(小松さん)

電子レンジで加熱したり塩で揉んでも手間がかからず、有効成分もあまり逃げないので、オススメだそうです。なお、通年販売の玉ねぎに比べて辛みが少ない新玉ねぎの場合は、薄くスライスするだけで辛みが気にならなくなる人もいるようです。

1年のうちで国産の新玉ねぎが食べられるのは、春のこの時季だけ。有効成分を逃さない方法で辛みを抜いて、新玉ねぎの甘いみずみずしさを味わってみてください。

>>アプリで他のお天気ニュース記事を読む>>お天気ニュース記事一覧

参考資料など

取材協力/小松友子さん、料理教室のBonちゃん(https://www.youtube.com/@bon6967)