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「最古のソメイヨシノ」が塗り替えられた!? 三大桜名所、弘前公園の桜は“ここが違う”

2023/04/08 06:09 ウェザーニュース

桜前線は例年より早く北上しています。

吉野山(奈良県吉野町)と高遠城址公園(たかとおじょうしこうえん/長野県伊那市)とともに「日本三大桜名所」の一つに数えられる弘前公園(ひろさきこうえん/青森県弘前市)の桜は、今年は4月7日に開花が発表されました。平年より15日早い観測です。

「弘前公園の桜」にはどんな特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

「52品種、2600本の桜」を見ることができる

青森県弘前市にある弘前公園は、弘前藩主だった津軽氏の居城、弘前城の敷地に広がっています。

公園内には、ソメイヨシノを中心に、ベニシダレ、シダレザクラ、ヤエザクラ、コヒガン、オオヤマザクラ、ベニユタカなど52品種の桜がおよそ2600本、植えられています。春の弘前公園はいわば「桜の大競演」の場。心が浮き立ちますね。

「圧倒的な量感」を誇る弘前公園の桜

一つの場所に2600本の桜があるのは、全国的に群を抜いて多いわけではありません。たとえば、湖畔に約2万本の桜が広がる華やかな桜の名所、狭山湖(埼玉県)には、遠く及びません。

では、弘前公園の桜の魅力はどこにあるのでしょうか。

その一つは、弘前公園のソメイヨシノの量感です。弘前公園のソメイヨシノは紅色が鮮やかで、量感がほかのソメイヨシノを圧倒しているといわれます。

ソメイヨシノは通常、一つの芽から3~4個の花を付けますが、弘前公園のソメイヨシノは平均4~5個の花を付けます。そのため、花が豊かに見え、圧倒的な量感を見る人に与えるのです。

「津軽富士」との“共演”も楽しめる

岩木山と桜を一緒に撮影することができる
弘前公園からは「津軽富士」ともいわれる岩木山を望めます。桜の時季は、弘前城と残雪の岩木山、そして、満開の桜の共演を楽しむことができます。

場所による魅力の違いもあります。たとえば、西濠(にしぼり)沿いには、約360mの桜並木があります。低い位置にある枝から咲き誇る桜の花は、まるでトンネルを形成しているように見え、「桜のトンネル」といわれています。

ソメイヨシノが咲き終わり、散り始めたときの「花いかだ」も素敵ですよ。お濠一面を埋め尽くす桜の花びらは、文字どおり桜色で、美しく、幻想的な風景を現出します。

「日本最古のソメイヨシノ」はどこか?

日本最古とされていた弘前最長寿のソメイヨシノ
弘前公園には「日本最古のソメイヨシノ」がありました。「ありました」と過去形で書いたのは、このソメイヨシノよりも古くに植えられたソメイヨシノが近年、確認されたためです。

1882(明治15)年、弘前藩の藩士だった菊池楯衛(きくちたてえ)は、当時はあまり知られていなかったソメイヨシノを1000本、弘前城跡(現在の弘前公園)に植えました。明治になり、荒廃したお城を憂えてのことでした。

その中の1本は、春になると今も花を咲かせ、「日本最古のソメイヨシノ」と考えられていました。

ところが、福島県郡山市にある開成山(かいせいざん)公園に、これより古い、1878(明治11)年に植樹されたソメイヨシノが見つかったのです。これによって「日本最古のソメイヨシノ」の座を譲ることになりました。

弘前公園の桜が“健康長寿”である理由

一般的には、ソメイヨシノの寿命は60年ほどといわれます。

しかし、弘前公園のソメイヨシノなどの桜は、平均より長寿のものがたくさんあります。

実はそれには理由があって、弘前公園の桜は、リンゴの剪定(せんてい)技術を参考にして管理したり、桜の木に肥料を与えたりするなど、高度で丁寧な手入れが施されています。そのことが弘前公園の桜の健康と長寿を支えているのです。

「弘前さくらまつり」は4月21日(金)に開催予定

ライトアップされた弘前公園の桜
弘前公園では例年、桜の時季に「弘前さくらまつり」が開かれます。

新型コロナウイルスの流行のため、開催されなかった年もありますが、今年(2023年)は4月21日(金)~5月5日(金)に開かれる予定です。

今年は桜の開花が記録的に早まったため、4月15日(土)~4月20日(木)を「準まつり期間」として設け、出店やライトアップも、可能な限り、15日から行う予定で準備を進めているようです。

「さまゞ(さまざま)の事思ひ出す桜かな」と松尾芭蕉(1644~1694)が詠んだように、桜を見ると、さまざまなことが胸に去来する人は多いでしょう。

弘前公園の桜を見に行けない人も、北上する桜前線を映像などで見て、さまざまなことを思い、考え、スタートしたばかりの新年度を心新たに始めてみてはいかがでしょうか。
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参考資料など

『日本一の桜』(著者/丸谷馨、発行所/講談社)、『まっぷる 青森 弘前・津軽・十和田 '24』(発行所/昭文社)、『ココミル 十和田 奥入瀬 弘前 青森』(発行所/JTBパブリッシング)、『ブラタモリ 14 箱根 箱根関所 鹿児島 弘前 十和田湖・奥入瀬』(監修/NHK「ブラタモリ」制作班、発行所/KADOKAWA)、『そして一本桜』(著者/葛城三千子、発行所/右文書院)、『覚えておきたい芭蕉の名句200』(編集/角川書店、発行所/KADOKAWA)、「弘前さくらまつり2023」(https://www.hirosakipark.jp/sakura/)