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卵の白いヒモのようなモノ…、食べても大丈夫? 捨てるともったいない?

2023/03/27 11:56 ウェザーニュース

もともと春が旬と言われる卵は、物価の優等生と言われてきましたが、最近は品薄と価格の急上昇ばかりが話題になっています。とはいっても、卵は弁当やおかずの必需品。

せっかく買ったら余すことなくいただきたいものですが、黄身と白身の間に白いヒモのようなモノは敬遠する人も少なくないようです。ウェザーニュースでアンケート調査を行なったところ、「毎回取る」が21%、「取ることがある」が22%という結果で、4割以上の人が気になっていることが分かります。
この白いヒモのようなモノは何か皆さん知っていますか? こちらの“正体”や卵の白身や黄身の栄養について、卵販売の老舗、株式会社落水正(おちみずただし)商店(長崎県雲仙市)の取締役である岩素子(いわ・もとこ)さんにお話を伺いました。

卵の栄養成分は部分で異なる

卵はご存知のように、黄身と白身でできています。

「この黄身と白身は、栄養成分にかなりの違いがあります。

黄身で最も特徴的な栄養成分に『リン脂質』があります。これは脳や細胞膜、神経組織などを作る重要な栄養成分の一つで、レバーや大豆にも含まれていますが、黄身にはなんと大豆の3倍も含まれています。さらに疲労回復を助けるビタミンB群や目や粘膜の健康を維持するビタミンAも多く含まれています。

一方、白身の成分は90%が水分なので栄養がないように思われるかもしれませんが、筋肉や骨、血液などの材料になる良質なたんぱく質が含まれています。

卵を食べる際にはバランスよく、黄身も白身も一緒に食べるのが理想的といえます」(岩さん)

SNSでも話題、「カラザ」も食べよう

黄身と白身の他に、白いヒモのようなモノもありますが、これも食べてよいのでしょうか。卵かけご飯の時には取り除く人も多いように思います。

「黄身にくっついている白いヒモのようなモノは『カラザ』です。カラザは、白身の一部で、黄身を卵の中心に固定して外部からの衝撃から黄身を守る重要な役割を果たしています。

栄養も豊富で食べて問題ありません。以前に鶏卵業の方がTwitterで『カラザは取らないでください』とツイートし話題にもなりました」(岩さん)

具体的にどのような栄養が含まれているのでしょうか?

「カラザには細胞間の情報伝達や異物の侵入を感知する糖の一種である『シアル酸』をはじめ、その他にもカルシウムや鉄、リンなどのミネラル、ビタミンなどの栄養成分が含まれています。

もちろん食感などが気になる方は取り除いても良いと思いますが、正体がわからず不安で取り除いていた方は、今後は卵を食べる際には取り除かずに一緒に食べていただきたいですね」(岩さん)

もし卵かけご飯など生卵を食べる際にカラザの食感が気になる場合は、箸で切るようにして混ぜ、できるだけカラザを細かくするとあまり気にならないそうです。

卵は人間の体内で合成できない9つの必須アミノ酸をすべてバランスよく含むすぐれた食品です。春は鶏の体調が良くなって卵をよく産む季節です。もちろん摂り過ぎには注意しながら、新鮮な卵をおいしくいただいて、体の栄養バランスを整えましょう。

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参考資料など

取材協力:株式会社落水正商店(https://www.taiyouran.com/)