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開花の時期の目安がわかる 東京の桜「600℃の法則」とは

2023/03/05 15:05 ウェザーニュース

いよいよあと2週間ほどで桜の開花が始まろうとしています。東京では早ければ来週後半にも桜が開花する予想です。

今回は、単純な計算で開花の時期の目安がわかる「600℃の法則」をご紹介します。
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桜の開花メカニズム

桜の花芽は、開花前年の夏にはできています。それが秋から冬にかけて、生長しないように休眠状態に入って年を越します。そして充分に低温刺激を受けた後に気温がぐっと高まった段階で休眠から目覚めます。これを「休眠打破(きゅうみんだは)」といいます。
休眠打破の仕組み
気象情報会社などが行う開花予想では、この休眠打破の日を起算日として、温度変換日数を積算し、地点毎に定めた日数に到達した日を開花日と予想します。

自分でも簡単にできる予想の仕方

そういった正式なやり方を取らずとも、実は東京・靖国神社にある桜の標本木については「600℃の法則」と呼ばれる手順を使えば、手軽におおまかな桜の開花を予想できます。内容はいたって簡単。

【600℃の法則】
2月1日以降の日最高気温の合計が600℃に達すると開花とする


つまり、2月1日を「休眠打破の日」と仮定して開花予想の起算点に設定し、そこから毎日の最高気温を足し算していくだけで桜の開花予想ができるのです。

これで実際に予想が当たるのでしょうか。今回、2010年〜2022年までの13年間について、気象庁のデータから東京都における600℃の法則の精度を調べてみました。
東京都心で日最高気温の積算値が600℃に到達した日と開花の観測日の差
正の方向は開花日のほうが遅かったことを、負の方向は到達日のほうが遅かったことを示す
このグラフは、2月1日から毎日の最高気温を足して“600℃を超えた日”と、“実際に開花が観測された日”の間に何日の誤差が生じていたかを示したものです。最大でも3日しかずれていないというのは、なかなかの精度ではないでしょうか。
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今年の「600℃の法則」は?

2月1日から開花日までの日最高気温の積算
今年2月は平年よりも暖かい日がやや多く、積算気温は少しだけ高めで推移してきました。ただ、2月末からは気温がかなり高い日が増えたため急角度になり、この先の予想(破線)をみると先頭集団をとらえるほどの伸びが見えてきました。週間予報の気温を積算すると、3月14日頃には開花目前の580℃に達することが示唆されています。

気温の予報が当たった場合、3月15〜16日頃には最高気温の積算が600℃に到達することになりますので、過去最も早かった2021年(3月14日)や2020年(3月14日:閏年)に続く早さでの開花となるかもしれません。ウェザーニュースでは8日(水)に第五回桜開花予想を発表予定です。

なお「600℃の法則」はあくまで東京の標本木における経験則ですので、皆さんのお近くの桜の開花予想はウェザーニュースの桜Ch.をぜひご活用ください。
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参考資料など

品川区環境情報活動センター