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週刊地震情報 2023.2.12 トルコでM7.8とM7.5の2回の大地震 広範囲で甚大な被害

2023/02/12 10:48 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は前週に比べると多い水準です。

北海道から九州の各地で地震が起きており、熊本県を震源とする有感地震がやや目立っています。震度3以上の地震は3回発生しました。(2月6日~2月12日10時の集計)

国内:熊本県熊本地方で2回の震度3

熊本県熊本地方の地震
9日(木)16時19分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード3.9、深さは10kmと推定される地震が発生しました。この地震で熊本市、大津町、西原村、益城町で最大震度3を観測しています。

熊本県熊本地方を震源とする震度3以上の地震は去年11月24日以来で、地震のメカニズムは幾分、横ずれ成分を含んだ逆断層型と解析されています。2016年に発生した熊本地震の活動域で起きたとみられます。

また、11日(土)16時38分頃にも同じ熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード3.2、深さ約10kmと推定される地震が発生し、熊本市で震度3を観測しました。

熊本地震は布田川断層と日奈久断層の2つの連なる断層が活動した地震です。隣接した断層で強い地震が相次いだ点においては、後述のトルコの地震と似た部分があります。

世界:トルコでM7超の地震が2回発生

世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は5回発生しました。すべてがトルコで発生した地震で、最も大きなものはマグチュード7.8です。

日本時間の2月6日(月)の午前、トルコ中部を震源とするマグニチュード7.8、深さ約18kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

また、9時間後の夜には少し北に離れた所でマグニチュード7.5、深さ約10kmと推定される地震が発生。こちらの地震もメカニズムは横ずれ型と解析されています。2回の地震の余震とみられる地震が多数発生していて、マグニチュード6を超える地震が3回発生しました。

震源の近くでは改正メルカリ震度階級でIX(厳密には比較できませんが、日本の震度階級では震度5強〜6弱に相当)の激しい揺れに見舞われたとみられます。

トルコは複数のプレートの境界で地震国

トルコ周辺のプレートや断層
トルコは国の大部分が「アナトリアプレート」と呼ばれる小さなプレート上に位置しています。南側にはアフリカプレート、南東側にアラビアプレート、北側にはユーラシアプレートがあり、複数のプレート境界に囲まれる形です。

最初に発生したマグニチュード7.8の地震はアナトリアプレートとアラビアプレートの境界に形成されている「東アナトリア断層」の活動とみられます。

近年、トルコで発生した被害の大きな地震としては、1999年に発生したマグニチュード7.6が挙げられます。イズミット地震とも呼ばれる地震は、今回とは違い北アナトリア断層の活動に伴う地震で、大都市イスタンブールを含むトルコ北西部で被害が大きくなりました。

M7.5の地震は誘発地震か

トルコの震源分布
マグニチュード7.5の地震は最初の地震の活動域から少し外れた所で発生しました。最初の地震は北東ー南西方向に活動分布が広がっているのに対し、後の地震は東西方向に分布しており、別の断層が活動したと考えられます。

マグニチュード7.8の地震によっての誘発地震と言えそうです。トルコは東アナトリア断層、北アナトリア断層に代表される大断層だけでなく、中小規模の断層が多数分布しています。さらに誘発される地震が発生する可能性は否定できず、被害の拡大が懸念されます。
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参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。