facebook line twitter mail

雨雲レーダーにリング状の模様「ブライトバンド」が出現

2023/02/10 15:29 ウェザーニュース

今日2月10日(金)は雨雲レーダーを見ると、移動しないリング状のエコーが出現しているタイミングがありました。

これは「ブライトバンド」と呼ばれる反応で、偽の強い雨雲であり、上空に「みぞれ」の層(融解層)があることを示唆しています。
» 雨雲レーダー» 雨雲レーダー

雪→雨への変化でレーダーが過大評価

雨雲レーダーは電波を上空に向けて発射し、雨粒などに反射して返ってくる電波の強さをもとに、降水の強さを推定しています。

このとき上空にみぞれ(雪がとけかけている)の層「融解層」があると、雪や雨の粒よりも電波をよく反射するため、実際の降水の強さよりも過大に評価されてしまうのです。これがブライトバンドが明るく見える理由です。

雨雲レーダーは高さの角度を変えながら回転して観測しているため、上空の特定の高さにみぞれの層(融解層)があると、その高さに応じた半径の部分に移動をしない明るいブライトバンドが出来るという理由です。

偽の強い雨雲に見えてしまうため、気象庁では他の種類のノイズと同様に軽減する自動処理を行いますが、完全には除去できずに可視化されたようです。

今回は気象庁の東京レーダー(柏レーダー)や国土交通省の船橋レーダー・横浜レーダーの上空にみぞれの層(融解層)があるため、レーダー設置場所の周辺にブライトバンドが出現しているものとみられます。また午前中には、気象庁の名古屋レーダー、国土交通省の尾西・鈴鹿・浜松レーダーの上空などでもブライトバンドが見られました。

ブライトバンドが見えたときの3つのポイント

1.ブライトバンドの下で強い雨が降っているとは限らない
もしそれがブライトバンドであれば、周囲よりも過大評価されていると考えられますので、利用者は割り引いて考える必要があります。

2.上空には雪の層がある
ブライトバンドが出ているということは、上空にみぞれの層・雪の層が存在していることになります。地上では雨が降っていても、周辺の標高の高いところでは雪が降っているかもしれません。

3.リングの大きさの変化に注目
先述のように、ブライトバンドの半径はみぞれの層(融解層)がある高さによって変化します。リングの半径が小さくなると、それだけ低い高さにみぞれの層(融解層)があることを示しますので、リングが小さく変化してきたら地上でも雪に変わるタイミングが近いと読み取れます。

今後、レーダーを見る際のひとつの豆知識としてご参考ください。
» アプリ 雨雪レーダー» 雨雪レーダー

都心はこのあと雨で経過

東京都心部では既に雪が雨に変わって、現在は雪が地上にたどり着くまでにとけて雨に変わっている状況です。このあとも気温の低下は予想されておらず、積雪などの影響はない見込みです。

一方で、多摩地方や甲信では大雪となっています。車はスタッドレスタイヤやチェーン等を装着しスリップ事故等に十分注意して運転してください。
» GPS検索 ピンポイント天気予報» ピンポイント天気予報
» 大雪ピンポイント影響予測(会員向け)

参考資料など

気象庁 気象レーダーを利用する際の注意事項 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html