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伝統的な保存食「ゆべし」を自作! 乾燥・低温が続く時期が作り時

2023/02/07 04:57 ウェザーニュース

「ゆべし」という食べ物を知っていますか? 漢字では“柚餅子”と書き、11世紀末から12世紀にはすでに登場していたといわれています。

このゆべし、全国各地で作られているものですが、名前は同じでも地域によって見た目も味も全く異なるようです。詳しい話を発酵食コーディネーターで料理研究家の加藤なぎささんに伺いました。

もともと平安時代からの保存食

ゆべしは福島、山形、鹿児島、岡山など全国各地で作られています。

「主に柚子やクルミを使った餅のような甘いお菓子を指します。しかし、もともとゆべしとは、柚子をくりぬいて、その中に味噌、米粉、木の実などを入れて干しあげ、保存食、携行食として用いられたものが元祖と言われていて、柚子やくるみの入った餅状のゆべしとは大きく異なります。

そして、その元祖ゆべしにも、材料の違いのほかに大きく分けて干すだけの作り方と、蒸してから干しあげる作り方の2通りがあります。いずれも干し上がるとカチカチになりますが、噛み締めると柚子の香りと味噌や白ごまの旨みが口いっぱいに広がります」(加藤さん)

それぞれの作り方を教えてもらいました。

干すだけ「ゆべし」の作り方

「干すだけのゆべしは、鰹節と味噌を練ってくり抜いた柚子に入れ、この時季の乾燥と日当たりを利用してカチカチになるまで干し上げるだけです。アツアツごはんや、おにぎりの具材に使えます。柚子の香りもよく、風味があります」(加藤さん)

【作り方】
(1)柚子の上部1/4程度を切り取り、中身をくりぬく。切り取った上部はフタとして取っておく。
(2)味噌に味噌の1/5量の鰹節、白ごま適量を混ぜ、くりぬいた柚子に詰める。
(3)とっておいた上部でぴったりとフタをして1ヵ月程度、カチカチに干しあげて出来上がり。固いので、包丁で薄く切ってから食べる。

蒸してから干す「ゆべし」の作り方

「蒸してから干すゆべしは、柚子の果肉と味噌、砂糖、小麦粉、鷹の爪を使い、ピリ辛で少しねっとりした感じに仕上げます。干すだけのものと同様、カチカチになるまで気長に干しあげましょう」(加藤さん)

【作り方】
(1)柚子の上部1/4を切り取り、中身をくりぬく。上部をフタとして取っておく。
(2)1でくりぬいた柚子の果肉の種を取り除き、包丁で細かく切る。この時、出た果汁も捨てないように取っておく。
(3)味噌、砂糖、小麦粉、細かく切った鷹の爪、白ごまと2をよく混ぜ合わせる。
(4)1に3を7割程度詰めてから取っておいた上部でフタをし、蒸し器で20分蒸す。
(5)蒸しあがったら1ヵ月程度、カチカチになるまで日当たりで干しあげたら出来上がり。

旬も終わりに近い黄柚子を使った伝統的な保存食ゆべし。今の時季は乾燥が続いて気温も低く、カビが生えにくいので絶好の作り時だそうです。一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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