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恵方巻きの起源は大阪にあり 正しい食べ方の作法 今年の恵方は?

2023/02/03 05:00 ウェザーニュース

今は一年で一番寒い時季ですが、節分を迎え立春を過ぎると春の足音がだんだんと聞こえてきます。節分は立春の前日なので、今年は2月3日の本日となります。

節分の定番行事といえば、まずは豆まき。地方によっては柊鰯(ひいらぎいわし/柊の枝に焼いた鰯の頭を刺した魔除け)を飾ったりします。

恵方巻きも節分に食べられていますね。

この恵方巻き、節分が近づくとコンビニやスーパーに大量に並べられますが、全国区の行事になったのはそれほど古いことではありません。

食べ方にも決まりがあります。この点について、歳時記×食文化研究所代表の北野智子さんに伺いました。

恵方巻きの習慣は“西高東低”

ウェザーニュースでは、「恵方巻を食べる予定は? 」というアンケートを実施しました。結果は「予約する・予約済」が12%、「当日買う・食べに行く」33%、「自宅で作る」8%、「予定なし」47%という回答でした。

全国的には5割以上の人が食べていることになります。この回答をエリアで見ていくと面白いことがわかりました。棒グラフのように近畿では「予定なし」が27%と少なく、7割以上の人が食べているのです。

中国、四国でも「予定なし」がそれぞれ38%、30%という結果で、食べている割合が全国的にも多いことがわかります。

対して関東、東北、北海道では、「予定なし」が5割以上という数字。どうやら恵方巻きの習慣は“西高東低”ということがいえそうです。

「アンケート結果が“西高東低”となるのは、恵方巻きの起源が商都として栄えた大阪にあるからです。

諸説ありますが、幕末から明治時代にかけて大阪の船場で事業を営む旦那衆が、芸子さんたちと太巻1本を丸かぶりする大尽遊びをしていたことが始まりとなったといいます。

同時に縁起をかついで、商売繁盛や無病息災などの願い事をするようにもなりました」(北野さん)

全国的に広まったのは1990年代以降

「丸かぶり」することから恵方巻きは、「丸かぶり寿司」ともいわれます。そもそも海苔巻き文化は、関東と大阪では大きく異なります。

大阪の海苔巻きが中巻きや太巻きであるのに対し、江戸前寿司は細巻中心。もともと太い海苔巻きは、大阪に定着していた食文化だったのですね。

「丸かぶりは旦那衆の大尽遊びだけでなく、縁起担ぎを大切にしてきた花柳界(招き猫の習慣も花柳界の発祥)でも古くから行われていたようです。

これを知った大阪の寿司屋などが商売に結びつけたり、海苔業界がキャンペーンを行うことで、広く一般に知られるようになったようです。

そうはいっても今日のように、国民の5割近くの人が食べるようになったのは1990年代以降のこと。

近畿地方はともかく、全国的にはそれほど古いことではありません。広まったのは、季節の行事食を商品化して、テレビコマーシャルなどで販促活動を展開してきたコンビニの企業戦略と関係がありそうですね」(北野さん)

七福神にちなんだ7種の具材

「この恵方巻きの具材は地方によって多少の違いがあるようですが、基本的な材料は高野豆腐、かんぴょう、椎茸、胡瓜、玉子焼き(または厚焼き卵)、穴子、でんぶなどの7種類です。具材が7種類なのは、七福神にちなんで縁起を担いだものです」(北野さん)

この7種の具材も最近ではバリエーションがずいぶん増えました。

鮪や蟹のほか各種の魚介や肉、チーズを入れたり、フルーツ入りもあるほどです。

恵方を向いて丸かぶり、無言で願い事を

ところで、縁起物文化には作法がつきものです。恵方巻きの場合もこれが重要。一般に知られるのは「恵方=吉をもたらす方角」を向いて丸かぶりすることですが、「恵方」は十干十二支によって決まるため、毎年方角が変わります。

「2023年は『丙(ひのえ)』、つまり南南東のやや南の方角が恵方となります。食べている間は願い事をしながら終始無言。これも鉄則です。

丸かぶりする理由は、福を巻き込んでいるとされる巻き寿司を切らずに食べることで、〈福が切れない=福を得る〉ことができると考えられてきたためです。

また、食べる時間は節分の日であれば、気にすることはありません。醤油をつける、つけないも好みで大丈夫です。立って食べるか、座って食べるかも決まりはないと思います。

小食の方は大変かも知れませんが、1本完食。これも原則です」(北野さん)

最近はスーパーやコンビニで購入することが多い恵方巻き。なかには高級和食店や有名百貨店の恵方巻きをお取り寄せする方も増えています。

ちょっとハードルが高いかもしれませんが、せっかくの行事食なので手作りしてみるというのも良いかもしれませんね。
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