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★2月の天体イベント★  月や惑星に注目!地球に最接近する彗星も

2023/02/02 22:54 ウェザーニュース

2月は金星・木星・火星と月の接近や、ズィーティーエフ彗星に注目です。縁起の良い星「カノープス」を見るのに良い時期でもあるので、晴れた日は天体観測をお楽しみください。

ズィーティーエフ彗星が地球に最接近

2月の21時頃 彗星の位置(東京)
ズィーティーエフ(ZTF)彗星(※)が2月2日(木)頃に地球へ最接近します。この頃が最も明るく見えるタイミングで、5等台まで明るくなる予想です。

2月後半にかけて見頃を迎えます。空が暗く透明度が高い場所では、もしかしたら肉眼でボンヤリ見られる可能性もありますが、双眼鏡や望遠鏡を使って観測するのがおすすめです。

彗星は「ほうき星」と呼ばれるように、尾を持つ特徴的な姿が魅力の天体です。彗星が明るくなると核が輝いて見えることもあり、その周りにぼやっと広がる淡い青緑色のコマや、そこから尾が伸びるような姿が見えるかもしれません。

※ズィーティーエフ(ZTF)彗星:2022年3月にアメリカ・パロマー山で行われている観測プロジェクト「ZTF」で発見された彗星です。今後、ズィーティーエフ彗星は太陽系の彼方に飛び去り、太陽系の内側には二度と戻ってこないとのこと。

ズィーティーエフ彗星が火星に最接近

2月11日の21時頃 西南西の空(東京)
ズィーティーエフ彗星は明るい天体に次々と近づくため、位置の見当がつけやすくなります。

2月6日(月)頃にはぎょしゃ座のカペラ、11日(土)頃には火星、15日(水)頃にはおうし座のアルデバランに接近するため、これらの天体を目印にして探してみてください。

なお、6日(月)は満月です。地球に接近して明るくなっている時期に月明かりがあるのは惜しいですが、双眼鏡や望遠鏡を使って彗星観測をお楽しみください。

2023年で地球から最も遠い満月

満月の距離と大きさの違い(イメージ)
2月の月は、6日(月)3時29分頃に満月の瞬間を迎えます。2023年の満月では、地球から最も離れた満月です。

地球の周りを公転する月の軌道は楕円形で、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化しています。このため、満月や新月のときの地球と月の距離は毎回異なります。

月は2月4日(土)17時55分に遠地点(地球から最も遠ざかる点)を通過し、6日(月)3時29分に満月の瞬間を迎えます。満月のときの地心距離(地球の中心と天体の中心の間の距離)は約40万6000km、月の視直径(角度で表す天体の見かけの大きさ)は約29分26秒角です。

2023年で最も地球に近い満月(8月31日)と比較すると、視直径は約12%小さく(面積は約22%少なく)なります。

2月の満月、英語で”Snow Moon”

農事暦における満月の呼び方
アメリカの先住民は季節を把握するために、各月に見られる満月に名前をつけていました。

2月の満月は”Snow Moon(雪月)”です。2月は、「寒さが厳しく大地の多くが雪に覆われる季節」にちなんで名付けられています。

細い月が金星と木星に接近

2月22日~23日の日の入り1時間後 西の空(東京)
2月も日の入り後の西の空では、低い位置で「金星」と「木星」が明るく輝く姿を見ることができます。22日(水)には三日月が金星に最接近し、23日(木)には月が木星に最接近するため注目です。

三日月のような細い月の場合、月の暗い部分がうっすらと見える「地球照」という現象がみられることもあります。美しい地球照の月と金星や木星が隣り合う姿を探して、空を見上げてみてください。

▼沈む時刻(東京)
22日(水) 月 19:44、金星 19:47、木星 20:24
23日(木) 月 20:53、金星 19:49、木星 20:22

冬の星座と輝く火星に月が接近

2月28日の19時頃 南の空(東京)
昨年12月1日に地球へ最接近した「火星」は、2月も0等前後の明るさで、まだまだ夜空でも目立つ存在です。空がすっかり暗くなった頃には、空の天頂(頭の真上)で輝くため、観測しやすい惑星です。

火星のまわりにはオリオン座などの冬の星座があります。6つの1等星(カペラ・ポルックス・プロキオン・シリウス・リゲル・アルデバラン)で構成される六角形「冬のダイヤモンド」の中で火星が輝くため、とても華やかです。

シリウス・プロキオン・ベテルギウスを結べば「冬の大三角」にもなります。

2月28日(火)には、前日に上弦を迎えたばかりの月が火星に接近します。月と火星、冬の明るい星々の共演をお楽しみください。

▼28日(火)の沈む時刻(東京)
月 26:11、火星 25:42

カノープスを見るチャンス

2月のカノープスが南中する頃の星空
カノープスはマイナス0.7等と非常に明るい星で、シリウスのマイナス1.5等に次いで恒星としては全天で2番目に明るい星です。

北半球では、多くの星は地平線から昇ったあと、真南の方角で一番空の高い位置に昇ります(南中)。普段は見づらいカノープスですが、2月は夜更け前に南中するため、見られるチャンスです。

ただ、北の地域ではカノープスは地平線より上に昇らず、見ることができません。国立天文台によると見られる北限は、おおむね福島県北端付近とのことです。南に行くほどカノープスの南中高度は高くなり、見つけやすくなります。

おとなりの中国では、縁起のいい赤色の見た目とその見つけにくさから、カノープスを「南極老人星」や「寿星」と呼び、見ると長生きできるという言い伝えがあったと言われています。
カノープスの見つけ方
カノープスの見つけ方は2つあります。

■冬の大三角とシリウスから探す
オリオン座の「ベテルギウス」と、こいぬ座の「プロキオン」を結んだ線の中心付近から、おおいぬ座の「シリウス」に向けて線を引きます。シリウスまで引いた線を、さらに下に延ばしていくと、赤っぽく輝くカノープスがあります。
目印となる3つの星はどれも明るく分かりやすいため、肉眼でも行える方法でおすすめです。

■おおいぬ座のβ星・ζ星から探す
おおいぬ座のβ(ベータ)星・ζ(ゼータ)星を結んだ線を下に延ばしていくと、赤っぽく輝くカノープスがあります。
β星は2等級、ζ星は3等級のため、肉眼では見えづらいことも。双眼鏡があると安心です。

晴れた日は、カノープスの観測にチャレンジ!縁起が良いとされる星を探してみてください。

参考資料など

国立天文台「ほしぞら情報」https://www.nao.ac.jp/astro/sky/
国立天文台「暦計算室」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
アストロアーツ「星空ガイド」 https://www.astroarts.co.jp/