▼チャイ

シナモンやクローブなどのスパイスを使い、独特の風味が人気のチャイ。たっぷりの牛乳を使ったミルクティーに、砂糖やスパイスを加えて煮出し、濾(こ)して作ることが多いです。

「『冷えたな』と思ったときにチャイを飲むと、すぐに体を温めてくれます。シナモンやクローブは体を温める作用があり、特にシナモンは冷え性の人におすすめのスパイスなのです。体表の血流を高めて風邪を予防する作用もあります。

家で作る場合は、紅茶などにシナモンを加えるだけでも十分効果があります。甘みを加える場合は、体を温める作用のある黒糖を使うとさらに効果的です」(瀬戸先生)

▼甘酒

美容や健康によいと注目されている甘酒もおすすめだといいます。甘酒には、米を麹で発酵させて作るものと、酒粕を薄めて砂糖を加えるものの２つのタイプがあります。

「麹から作られた甘酒は、エネルギーを循環させるための通り道である経絡(けいらく)を温め、体も温めてくれます。疲労回復効果や消化不良の解消、腸内環境の改善などにも効果があります。冷え性の人に加えて、体力がない人や胃腸が弱い人、お通じに悩む人におすすめです。

東洋医学では甘いものは胃腸を疲れさせて、体を冷やすと考えますが、甘酒は砂糖を使っていません。体を冷やさず胃腸を疲れさせない、安心して使える甘味でもあるのです。

酒粕から作られる甘酒は、甘みを追加しています。体を温めるためには、甘くするよりも、料理などに使うのがおすすめです。体を温める効果のほか、美肌効果も期待できます」(瀬戸先生)

▼よもぎ茶

草餅や生薬として使われるよもぎは、日本で古くから珍重されてきたハーブです。乾燥させ、空煎りなどして作るよもぎ茶もおすすめだといいます。

「婦人科系のトラブルがあり、冷え性の人に特におすすめです。よもぎは、ハーブの女王とも呼ばれますが、非常にたくさんの効能があります。

経絡を温める作用が強いので、冷え症状が強い人は年間を通して飲むと良いものです。生理不順を整えたり、生理痛を緩和するなど、女性に嬉しい効果もあります。また、血液を補う作用や胃を元気にする作用もあります。

なお、お灸に使われる『もぐさ』はよもぎが原料で、体を温めるのに効果的。また、よもぎ湯に入れば外からもしっかり体を温めてくれます」(瀬戸先生)

紹介した飲み物以外でも、ちょっと食材を加えるだけで体を温める効果を高めることができるといいます。

「使いやすいのは、黒糖とシナモンです。精製されていない黒糖はミネラルを豊富に含むのが特徴です。薬膳では、冷えを取りお腹を温める効果があるとされています。お湯で溶くか、ホットミルクに加えるといいでしょう。

コーヒーのような“体を冷やす”飲み物でも、黒糖やシナモンを加えると、作用が緩和できます」(瀬戸先生)

温度が“温かい”飲み物でも、注意が必要なものもあります。

「コーヒーや緑茶は年間を通して好んで飲まれますが、東洋医学では“苦味は気を下ろす”と考えるように、体を冷やすものの代表です。暑い時期に適量なら、のぼせを取ったり、利尿作用を利用して溜まった熱をとったりしてくれますが、寒い時期はおすすめできません。特にアイスコーヒーや冷たいお茶で飲むと一層冷やしてしまうので注意しましょう。

“お茶”でも、発酵させたものは冷やす作用が和らぐので、緑茶よりもほうじ茶や紅茶などを選ぶと良いでしょう」(瀬戸先生)

体を温めるイメージの強いしょうがも、注意したい食物だといいます。

「寒さ対策というと真っ先に思い浮かべると思いますが、実はしょうがは生で使うと体を冷やしてしまうことがあります。生のしょうがは、体を温めで発汗を促す作用があるので、最終的には発汗して体温が下がります。生のしょうがを使う場合は、発汗させない程度の量に留めることが大切です。

乾燥したしょうがは、体を芯から温める作用がありますが、胃を荒らすことも多い食材です。胃が痛くなりやすい人、のぼせの症状がある人、肌が荒れていたり乾燥したりしている人は逆効果になることが多いので、摂りすぎには気をつけましょう」(瀬戸先生)

大寒を迎え、まだまだ厳しい寒さは続きます。温かい飲み物でしのぎ、乗り切っていきましょう。
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