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ウェザーニュースが選ぶ2022年の気象5大ニュース

2022/12/30 12:26 ウェザーニュース

2022年も季節の移り変わりのなかで、社会的な影響の大きな気象現象が発生しました。その中からウェザーニュースが選んだ5つのテーマについて振り返ります。

◆ 2022年気象5大ニュース ◆
寒の戻りで「電力需給ひっ迫警報」初の発令
梅雨が二分割? 中休みの6月に史上初の40℃
8月前半に東北や北陸で大雨多発
9月後半に台風14号 15号で被害相次ぐ
12月に記録的な大雪 大規模な立ち往生も
 <番外編>トンガで火山噴火 気圧変化で津波発生

寒の戻りで「電力需給ひっ迫警報」初の発令

3月22日は本州の南海上を低気圧が通過した影響で、関東・東北では寒の戻りとなり、雨や雪が降りました。東京都心でも一時的に雪が混じり、正午の気温は1.9℃の厳しい寒さでした。

季節外れの低温によって暖房需要が大幅に増加したのに対し、直前の16日に東北で発生した最大震度6強の地震による発電所の運転停止などが影響して電力の供給量が低下していたため、制度上初めての「電力需給ひっ迫警報」が東京電力・東北電力の供給エリアに対して発令されました。

幸い大規模な停電に至ることはありませんでしたが、電力需給のひっ迫した状態は翌日の午前中にかけて続きました。

梅雨が二分割? 中休みの6月に史上初の40℃

6月下旬に太平洋高気圧が勢力を強め、日本列島は猛烈な暑さに見舞われました。特にフェーン現象が加わった関東で気温が上昇し、6月25日には群馬県伊勢崎市で6月としては国内史上初となる40℃を記録しています。

太平洋高気圧の強まりにより、気象庁は6月27日~29日にかけて九州から東北南部でいったんは梅雨明けを発表しました。しかし、7月に入って高気圧が勢力を弱めて梅雨前線が再び顕在化したため、広い範囲で曇りや雨の梅雨空が続きました。気象庁が天候の経過を見直して精査した結果、梅雨明けは多くの所で7月下旬にずれこみ「統計開始以降最早の梅雨明け」は幻になっています。

8月前半に東北や北陸で大雨多発

7月の後半になっても太平洋高気圧の北への張り出しがなかなか強まらず、東北や北陸には梅雨前線が停滞しやすくなりました。8月3日~5日にかけては記録的な大雨によって新潟県と山形県に大雨特別警報が発表され、そのほかの地域も含め、河川氾濫や土砂災害による被害が相次ぎました。

8月9日~10日は東北北部で雨が強まり、秋田県の三種川が氾濫しました。青森県深浦町の8月上旬の雨量は573.5mmと、平年の年間雨量の3分の1に当たる集中的な雨です。

北陸と東北は8月に入っても梅雨前線の影響を受けやすかったこともあり、今年は梅雨明けの時期が特定されませんでした。

9月後半に台風14号 15号で被害相次ぐ

台風14号の雲 NICT ひまわりリアルタイムWebより
猛烈な勢力まで発達した台風14号は、勢力を維持して接近が予想されたため、気象庁が緊急で会見を行い、沖縄以外では初めて台風による特別警報が発表されました。上陸時の中心気圧は940hPaと1993年以来の低さです。

消防庁によると、被害は宮崎県を中心に全国27都府県に及び、死者が5人、負傷者は166人でした。

続いて接近した台風15号は14号に比べて勢力が弱く、最終的な解析結果では本州接近時には熱帯低気圧になっていました。しかし、周辺にあった大量の水蒸気が、静岡県付近に形成されたシアーラインに集中的に流れ込み、記録的な雨をもたらしました。静岡市では12時間で400mmを超える記録的な大雨を観測しています。住宅被害は13,000棟以上に及び、長時間の断水被害に見舞われた地域もありました。

12月に記録的な大雪 大規模な立ち往生も

12月になって北極からの寒気が放出期となり、日本列島にも寒気が流れ込みやすくなりました。その一方で日本海の海水温が平年より高く、上空と海面の温度差が大きくなって雪雲が顕著に発達しました。

特に17日~20日にかけてはJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)による活発な雪雲がほとんど停滞したことで、新潟県を中心に記録的な大雪に見舞われました。最深積雪は新潟市で68cm、長岡市では102cmを観測。また、91cmの積雪を記録した柏崎市では大規模な立ち往生が発生しています。

トンガで海底火山噴火 気圧変化で津波発生

気象衛星から見た噴煙 NICT ひまわりリアルタイムWebより
日本時間の1月15日13時頃、南太平洋トンガにある活火山「フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ」で大規模な噴火が発生しました。噴煙の高さは対流圏や成層圏を突破し、50km以上に達したという分析もあります。噴煙は気象衛星ひまわりでも明瞭にとらえられ、その大きさは関東地方をすっぽりと覆うくらい巨大なものでした。

この噴火に対して、気象庁は15日19時過ぎに「日本沿岸で若干の海面変動あり」という津波予報を出しましたが、実際には奄美大島の沿岸で1.2mの津波が観測されたことから、16日0時15分に津波警報を発表しました。気象庁が津波警報を出すのは2016年11月以来でした。この津波によって高知県や徳島県では漁船が沈没する被害が出ています。


今回の津波は、後の解析の結果、爆発的噴火に伴う気圧変化が海面変動を引き起こしたもので、音速に近いスピードで日本に到達したものとみられます。海外の火山噴火で日本に津波が来た事例は1883年のインドネシア・クラカタウ火山がありますが、頻度はたいへん小さく、ごく稀なことといえます。なお、この噴火を受けて、気象庁は大規模な火山噴火による津波に対して警戒を呼び掛ける情報を出すことを決め、3月のパプアニューギニアの噴火で初めて発表されました。

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台風14号被害(消防庁)https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/20220918taifu14gou18.pdf
台風15号被害(消防庁)https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/20220926taifu15gou10.pdf