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お湯を注ぐ回数で、ハンドドリップコーヒーの味に差が出る!?

2022/12/16 11:04 ウェザーニュース

新型コロナウイルスによって在宅ワークが広く定着し、さらに寒さも本格化してきた最近は、自宅で過ごす時間が長いという方も多いのではないでしょうか。

そんなときに気分をリセットしてくれるのが、温かいコーヒーです。自宅でコーヒーを淹(い)れる際、多いのがハンドドリップですが、お湯を注ぐ回数によって味わいに大きな違いが生じるといいます。

なぜコーヒーの味に差が出るのか、データなどを基にUCCコーヒーアカデミーに解説して頂きました。

「蒸らし」と「注ぎ」がおいしく淹れるポイント

まずは、ハンドドリップによる淹れ方の基本と、注意ポイントを教えてもらいました。

「ハンドドリップとは、フィルターを使ってコーヒーの粉とお湯を触れさせ、コーヒーのおいしい成分を取り出す抽出方法をいいます。お湯の温度(適温は95℃前後)や挽(ひ)いた粉と触れている時間の長さ、また注ぐ回数が1回だったり3回だったりなど、やり方によっていろいろな味わいが作り出せるという“奥深さ”をもった抽出方法です。

ハンドドリップでコーヒーをおいしく淹れるために大事なのは、まず『蒸らし』です。フィルターに入れた粉に、お湯を中心からできるだけ細く、ゆっくりと外側に向かってまんべんなく濡らしていきます。そうすると粉がぷくっと膨れ上がってきます。

続いて『注ぐ』も大切なポイントです。できるだけ静かにゆっくりと、コーヒー粉の中心に1円玉ぐらいの大きさの円を描くようにしてお湯を注いでいきます。中心からきらきらした泡が出ますが、できるだけその泡は粉の上に残すようにゆっくりと注いでください。

一定量のお湯を注ぐのは意外に難しいので、丁寧に。既定の量の目盛りまでお湯を注いで、お湯が落ち切ったら完成です。これが1回で注ぐ場合の手順になります」(UCC)

お湯を注ぐ回数で味が変わる!?

お湯を注ぐ回数でコーヒーの味わいはどう変わるのでしょうか。

「1回と3回を比較してみましょう。3回のときも1回のときと同じく、コーヒーの粉を蒸らします。蒸らし終えたら1回目のお湯をやはり中心に1円玉を描くようにして注ぎます。粉面が3分の1程度下がったタイミングで、2回目を注ぎます。注ぎ方が1回目と変わらないように気を付けてください。

再び粉面が少し下がったら既定の量の目盛りまで、3回目のお湯を注いでください。落ち切ったら完成です。

注ぐお湯の量と抽出時間を変えず、回数だけを1回で抽出した場合と3回に分けた場合、コーヒーの色は3回のほうが濃い印象になります。

『濃度計』を用いると、Brix(溶けているショ糖の量、濃度の概算を示す)と、TDS(総溶解固形物、液体に溶け込んだ物質の濃度を示す)を測ることができます。数値が大きいほどコーヒーは“濃く淹れられている”ことになります。

『濃度計』で計測したところ、注ぎが3回の場合は、1回の場合よりもBrix値・TDS値がともに高くなり、より濃く抽出されました。

1回の場合でも、“コーヒーを淹れるプロ”が丁寧に注いで差が出たので、一般の方が淹れた場合はその差がさらに大きくなる可能性が高いと思います」(UCC)

お湯の温度変化が味わいに影響

どうしてお湯を注ぐ回数によって、コーヒーの味に差が生じるのでしょうか。

「1回目に比べて2回目、3回目を注ぐときにはお湯の温度が少しずつ低く変化していますので、抽出される成分も変わってきます。そのため味が複雑になり、“バランスの取れた”味わいになると思います。

1回のほうがシンプルでさっぱりした印象、3回に分けたほうがしっかりと甘さや酸味が出た“コクのある”印象になります。1回の注ぎで淹れたシンプルな味わいのほうが好みという方もいらっしゃるかもしれません。自分なりの淹れ方を試して、ライフスタイルに合わせた好みの味を探してみてください」(UCC)

お湯を注ぐ回数を変えるだけで、コーヒーの味わいは変化します。気分によって味や濃さを変化させ、自宅で淹れた温かなコーヒーをより楽しんでみてはいかがでしょうか。

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参考資料など

取材協力/UCCコーヒーアカデミー(https://www.youtube.com/channel/UCGRsibrrMiwNbt7gQ_kEJsQ)