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黄色いネバネバ鼻水は危険サイン? この時期は副鼻腔炎に注意

2022/11/22 05:00 ウェザーニュース

朝夕の気温が少しずつ低くなり、本格的な冬が到来しようとしています。11月は昼と夜の寒暖差が大きく、風邪をひきやすい時期でもあります。もし黄色いネバネバした鼻水が出たら要注意。副鼻腔炎かもしれません。

副鼻腔炎とはどんな病気でどんな対処法があるのか、「かわもと耳鼻咽喉科クリニック」(兵庫県尼崎市)の河本光平院長に伺いました。
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副鼻腔炎って何?

副鼻腔炎というのは、どのようなものですか。

「蓄膿(ちくのう)症とも呼ばれた、副鼻腔に膿がたまる鼻の病気です。副鼻腔というのは鼻の奥にある空洞のことで、ヒトは上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と4つの副鼻腔を持っています。そのいずれかで炎症が起こると、副鼻腔炎(蓄膿症)になります。
副鼻腔炎にはいくつかの種類があります。

30日未満で治るものが、急性副鼻腔炎です。炎症の強さによっては副鼻腔の入口が閉鎖して膿の排出ができなくなり、頭痛や顔面痛、眼痛が生じます。

90日以上症状が持続するものが、慢性副鼻腔炎と定義されています。悪化すると粘膜が腫れて鼻茸(はなたけ/鼻ポリープ)を形成することもあります。

また、原因不明で難治性の好酸球性副鼻腔炎も、都市部を中心に近年増加傾向にあります。鼻茸が多発するケースが多く、臭いがしない、鼻詰まりといった症状を引き起こします。喘息や肺炎、中耳炎、胃腸炎を合併することもあります」(河本院長)

副鼻腔炎の原因、なりやすい人

どのような原因から副鼻腔炎になるのでしょうか。

「大きな原因の1つ目は、ウイルス感染です。風邪などでウイルスに感染すると、まず鼻腔粘膜で炎症が起こります。炎症が治らず奥にある副鼻腔にまで広がってしまうと、副鼻腔炎になります。

糖尿病や関節リウマチの治療で免疫の働きを抑える薬を飲んでいる人は、ウイルスに感染すると悪化しやすいので注意が必要です。

大きな原因の2つ目は、アレルギーです。花粉、ハウスダストなどのアレルゲンが鼻腔粘膜に炎症を起こし、その炎症が波及すると副鼻腔炎になります。アレルギー性鼻炎がある人は、鼻腔や副鼻腔の換気が悪く副鼻腔炎になりやすい体質といえます。

さらに、左右の鼻の穴を仕切っている鼻中隔が著しく曲がっている鼻中隔湾曲症や、空気中に漂っている真菌(カビ)が副鼻腔内に入って定着するケースからも副鼻腔炎を発症することがあります」(河本院長)

黄色い鼻水に注意! 副鼻腔炎の主な症状

とはいえ、鼻づまりは風邪や鼻炎などにも見られる症状なので、なかなか判断が難しいところです。副鼻腔炎の症状の特徴はありますか。

「代表的な症状は“粘り気の強い黄色い鼻水”で、水っぽい鼻水が出るアレルギー性鼻炎とは対照的です。悪化すると鼻水の色が、黄色から緑に変化することもあります。

鼻水が喉の方に流れる“後鼻漏(こうびろう)”も、副鼻腔炎の特徴的な症状と言えるでしょう。

そのほかにも、次のような症状が見られます。
・鼻が常に詰まる
・鼻声になる
・鼻の穴が狭くなったように感じる
・鼻詰まりによる息苦しさ
・鼻の奥、鼻水から嫌なにおいがする
・頭痛、頭がぼうっとする
・鼻の周りの痛み
・目の周りの痛み
・むし歯はないのに歯が痛む気がする
・顔を動かしたときに頬の奥に痛みを感じる

このような症状が出たら、副鼻腔炎を疑ってください」(河本院長)

副鼻腔炎の治療法と対策

副鼻腔炎になったら、どのような治療法があるのでしょうか。また、予防法も教えてください。

「副鼻腔炎の治療には、保存的治療と手術的治療があります。保存的治療は鼻水の吸引、鼻洗浄、抗生物質の投与などを行います。特殊なカテーテルで副鼻腔内の洗浄、薬液の注入を行うこともあります。

手術的治療でよく選択されるのは、内視鏡下副鼻腔手術です。真菌症や好酸球性副鼻腔炎などでポリープがある場合は、手術が必要になるケースが多くなっています。

予防法として最大のものは、風邪をこじらせないことです。風邪をひいたら無理をせず、十分な休養と睡眠をとりましょう。長引かせないことが大切です」(河本院長)

また、予防法の一つに、鼻うがいがあります。慣れないと難しいので、市販の鼻洗浄器を使うか、耳鼻咽喉科を受診したときに医師から指導を受けるのが良いそうです。

風邪など体調を崩しやすいこの時季に特に気をつけたい副鼻腔炎。鼻水ぐらい、と油断しないようにしたいですね。
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