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ボジョレーだけじゃない? 日本で飲める世界の新酒ワイン

2022/11/17 18:41 ウェザーニュース

今日は11月の第三木曜日、日本でもおなじみのボジョレー・ヌーヴォーの解禁日です。これは、フランス、ブルゴーニュ南端のボジョレー地区で造られる新酒ワインのこと。世界中には、もっといろいろな新酒ワインがあります。どんなものがあるか、宮城大学食産業学群教授の金内誠先生に訊いてみました。

ボジョレー・ヌーヴォーとは

なぜボジョレー・ヌーヴォーには解禁日が設定されていて、なぜ日本人はボジョレー・ヌーヴォーが好きなのでしょうか。

「解禁日が設定されているのは、フランスの法律で11月第三木曜日以前に新酒を飲むことが禁止されているからです。そのため世界各国で現地時間の11月第三木曜日を待ち、日付が替わると飲み始めます。

ワインは解禁日の前に到着し(通関して)、解禁日を待っています。日本で人気を集めた背景には、初物好きという日本人の国民性などがあります。日本では、江戸のカツオから始まって新酒に至るまで、初物や旬のものを好む傾向があります。そのため、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日も楽しいイベントのひとつなのです」(金内先生)

ボジョレー・ヌーヴォーには、どんな特徴があるのでしょうか。

「今年採れたブドウで造るボジョレー・ヌーヴォーは、通常のワインとは製造方法が異なります。通常赤ワインは、皮と一緒に発酵させることで、渋みポリフェノールであるタンニンを抽出させます。それを熟成させてまろやかにするのですが、ボジョレー・ヌーヴォーは時間をかけられません。炭酸ガスに浸すことで、渋みを抑えながら皮の赤色を効率よく溶出させているのです」(金内先生)

新酒ワインはボジョレーだけじゃない

ほかの国でも、秋になると新酒ワインが解禁されるのでしょうか。

「世界に目を向けると、ワインの新酒と解禁日はいろいろあります。イタリアのヴィーノ・ノヴェッロ(10月30日)、ドイツのデア・ノイエ(11月1日)、スペインのビノ・ヌエボ(11月11日)、オーストリアのホイリゲ(11月11日)などです。

その中でもドイツのデア・ノイエは歴史が古く、9世紀に初代神聖ローマ皇帝のカール大帝が定めた法律に端を発します。カール大帝は醸造所が季節限定で経営する居酒屋(シュトラウスヴィルトシャフト)に、新酒が出来上がると街道筋にブドウの葉などを吊るすように命じました。これによって、人々はブドウの葉などが吊るされている居酒屋に新酒を飲みに行ったのです。

この新酒ワインは、ドイツの白ワイン用の白ブドウ品種で造られます。その中でもおすすめは、ゲヴュルツトラミネールです」(金内先生)

白の新酒ワインにも注目

どんなワインなのでしょうか。

「果皮は灰色を帯びたピンク色をしていますが、造られるワインは輝く黄金色の白ワインです。さらに、ゲヴュルツとは、ドイツ語で香辛料を意味し、<ライチの香り>、<グレープフルーツ>、<バラの香り>などと表現されるような、非常に強いアロマ(果実香)を持ちます。

トラミネールという名は、南チロル地方で現在はイタリアのトレンティーノ・アルト・アディージェ州の村名に由来した名称です。

口に含むと、バランスの取れた酸味と甘みが残ったワインで、鼻に抜ける甘くかぐわしいフルーツの香りが混然一体となって胃の腑(ふ)に流れ込んできます」(金内先生)

こうした新酒ワインは普通の酒屋さんでも購入可能。ただし、入荷は解禁日後なので、若干遅れるそうです。

今年は、ボジョレー・ヌーヴォーの赤ワインとは違った香り高い白ワインの新酒で、秋の収穫を祝ってもいいかもしれませんね。
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