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「食欲の秋」は「虫歯のリスクが高まる時季」

2022/11/07 11:24 ウェザーニュース

食欲の秋は虫歯のリスクが高まる時季だともいわれます。

とくに“悪しき3つの食習慣”が大きな原因とされていますが、虫歯になりやすい人の特徴と陥りがちな悪習慣とはどのようなものか、またその改善策などについて「恵比寿一丁目 小島デンタルクリニック」(東京都渋谷区)の小島将太郎院長に伺いました。

酸性になると虫歯になりやすい

虫歯の原因はどんなところにあるのでしょうか。

「口の中の酸性化が、虫歯の大きな原因になります。酸性とアルカリ性の値を表わす単位をpH(ペーハー)値といい、低いほど酸性が強く高いほどアルカリ性が強くなります。口の中のpH値は通常6.8~7の中性に保たれていますが、食物や飲料を摂るたびに酸性度が高まっていきます」(小島院長)
「飲食物を採った前後の口の中のpH値の変化を示すグラフを『ステファンカーブ』といい、虫歯になりやすい状態かどうかの指標となっています。pH値が5.5以下の酸性が強い状態になると、酸によって歯の表面のエナメル質が溶ける『脱灰』が起きます。この脱灰が虫歯につながる大きな要因になります。

虫歯になりやすい人は、口の中の酸性化が起きやすいタイミングを招く習慣を繰り返しているといえるでしょう。虫歯予防には歯みがきも大切ですが、食習慣などの改善も欠かせません」(小島院長)

具体的に、虫歯になりやすい生活習慣を3つ教えてもらいました。

(1)間食など食事の回数が多い

ウェザーニュースで間食に関するアンケート調査を実施(2021年)したところ、全体で3割以上の人が「ほぼ毎日」間食をしていることが分かりました。特に女性は45%と半数近くにのぼっており、男性よりも女性の方が間食が多い傾向にあるようです。

しかし、間食が多くなることは、虫歯リスクを高める要因になるといいます。
「唾液には、酸性度を下げたり、エナメル質を歯に戻したりする『再石灰化』効果をもつ作用があり、食事の後、時間が経つほどこの作用が高まります。こうした唾液の効果で次第に口の中は中性に戻っていきます。口の中が酸性から中性に戻るには、20分~1時間ほどかかるとされています。

ところが、食事の合間にお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりを繰り返していると唾液の作用が対応しきれず、口の中はずっと酸性のままになってしまいます。これが虫歯になりやすくなる大きな原因の一つ目です。食事の回数、時間をきちんと決めて間食を減らすことが大切になります」(小島院長)

(2)ダラダラと長く食事をする

2つ目も食事に関する悪習慣です。

「長い時間をかけて“ダラダラ”と食事することは避けましょう。食事にかける時間が長いほど、口の中が酸性化する時間が長くなり、虫歯リスクを高めてしまいます。

食事以外でも、ジュースや缶コーヒーを時間をかけて“チビチビ”と飲んだり、飴やガムをいつまでも口の中に入れ続けていたりすることも酸性化につながります。

ダラダラと長い時間をかけて食事を摂ることは控えたいものです」(小島院長)

(3)口呼吸が多い

これからどんどん乾燥が進みますが、口の中が乾くこともよくないそうです。

「意外に思われるかもしれませんが、口呼吸が多い人も虫歯リスクが高いといえます。口呼吸をしている時間が長いほど口の中が乾いて唾液が蒸発しやすくなります。唾液の減少によって中性化や再石灰化が高まりにくくなり、虫歯のリスクが生じやすくなってしまうのです。また、唾液には口の中の汚れを落としたり虫歯菌などの繁殖を抑えたりする効果もありますが、そうした効果も得られにくくなります。

とくに最近はマスク生活が定着したことから、口呼吸をする人が増える傾向にあります。自分が口呼吸をしているかどうかはわかりにくいのですが、無意識に口が半開きになっていたり朝起床したときにのどに痛みがあったりしたら要注意です。

鼻が詰まりがちで鼻呼吸がしにくいという人は耳鼻科で原因を調べてもらい、早めに適切な治療を受けると良いでしょう」(小島院長)

こうした習慣以外にも注意すべき点はありますか。

「歯並びの悪さも虫歯の大きな原因になります。歯同士が重なっている部分は歯みがきがしにくく、かみ合わせの悪さも招いて、汚れや虫歯菌が定着しやすくなります。

歯並びの悪さは口呼吸の増大にもつながりますので、歯科医師の指導を受けて早めに矯正を行うようにしてください」(小島院長)

虫歯でせっかくの秋の味覚を味わえなくなることがないよう、食習慣などの改善に務めましょう。
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