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過去には死亡例も 秋の行楽シーズンは2種類のダニに要注意

2022/10/13 05:08 ウェザーニュース

秋は絶好の行楽シーズンです。そこで野外で注意したいダニについて、危険と対策を教えていただきましょう。

野外で注意したいマダニ

野外で自然にふれるとき、忘れてならないのが虫対策です。まず思い浮かぶのは蚊やハチなどですが、他にも危険な虫は多くいます。

「この季節にとりわけ注意したいのが、マダニとツツガムシです。どちらも危険な感染症を媒介することもあるのです」と、虫ケア用品最大手・アース製薬は注意喚起します。

「マダニは野外に生息し、成虫は吸血前でも体⻑が約3mmもある大型のダニです。家庭に発生することの多いヒョウヒダニやコナダニの体⻑が0.2〜0.4mm程度と肉眼で見つけることが難しいのに対し、マダニの成虫は注意すれば見つけることができます。

マダニは人に寄生して吸血します。怖いのは、刺されると皮膚炎を起こすだけでなく、日本紅斑熱、Q熱、ライム病、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)など、さまざまな感染症を媒介する可能性があることです」
マダニに刺されるのは、キャンプやハイキング、川遊びなどに限らないといいます。

「マダニは草むらなどに潜んで、吸血できる動物や人を待っています。公園や民家の裏庭、裏山、畑やあぜ道など、身近なところにも潜んでいます。動物や人の呼気を感知すると、草の先に移動して動物や人に素早く乗り移ります。

また、マダニは何日間も吸血するため、落ち着いて吸血できるところを探します。刺す場所を見つけると、口器を皮膚に刺し吸血します」

重篤な感染症の危険もあるツツガムシ

ダニの一種であるツツガムシにも注意したいといいます。

「ツツガムシの幼⾍は動物や⼈を刺して、吸⾎するのではなく体液を何時間もかけて吸います。北海道や沖縄など⼀部の地域を除いて全国で⽣息、春と秋を中⼼に感染例が⾒られます。そのためこれからの季節にも注意が必要なのです」

どのような場所で、ツツガムシに噛まれるのでしょうか。

「ツツガムシは野⼭や河川、森林、畑などに⽣息しています。幼⾍の体⻑は約0.2mmなので、⽬で⾒つけて避けることは難しいです。⼈につくと、脇の下や内腿、下腹部など柔らかい部位を探り、刺して体液を吸います。

ツツガムシに刺されても痛みやかゆみはほとんどなく、⾚くなっても数⽇後にはきれいになります。しかし、ツツガムシの幼⾍が『ツツガムシ病リケッチア』という感染症の病原体を保有していることもあります。

この季節に草むらを歩いた5〜14⽇後に、⾷欲不振、38〜40℃の⾼熱など⾵邪のような症状が出て、発疹が顔や体に現れたらツツガムシ病かもしれません。

ツツガムシ病は、毎年全国で数百⼈が感染し、重症化すると肺炎や脳炎症状を起こし、数⼈の死亡例も報告される怖い感染症です」

マダニ、ツツガムシの被害を防ぐには

野山や河川、公園などマダニとツツガムシがいる可能性のある場所を訪れるときは、どうしたらよいのでしょうか。

「マダニは⾐服に付いて、⾸筋や⾜元の隙間から⼊ってくることもあります。自然にふれる場所へ出かけるときは、肌の露出をできるだけ少なくするのが重要です。⻑袖、⻑ズボンを着⽤し、⾸にはタオルなどを巻くといいでしょう。市販の⾍よけ剤を使⽤すると効果的です。適⽤害⾍にマダニが記載されているものを選んでください。

ツツガムシを寄せつけないためには、適⽤害⾍にツツガムシが記載されている、ディートを⾼濃度含有する医薬品の⾍よけ剤が有効ですが、使い⽅に注意が必要です。

⽣息していそうな場所に⽴ち⼊る前に、肌の露出⾯だけではなく履物やズボンの裾等にまんべんなく塗りむらがないようにスプレーしてください。また、薬剤だけに頼らず、シャツ、ズボン、⻑靴等を使⽤し、肌を露出しないようにすることが⼤切です」

帰宅後も油断はできません。

「ツツガムシの幼⾍は⾁眼では⾒つけられません。ツツガムシがいそうな場所から帰宅したら、⾐服を着替えてすみやかに⼊浴します。⾐服についている可能性もあるので、すぐに着替えて早めに洗濯してください。

マダニに咬まれた場合は、決して引き抜こうとしてはいけません。無理に引き抜こうとすると頭が残ったり、体液が逆流する危険がありますので、そのまますぐに医療機関を受診してください。また、ツツガムシ病が疑われる症状が出たときにも医療機関を受診してください」


秋は自然を楽しむのによい季節ですが、危険な虫が潜んでいる可能性がある場所では、対策を忘れずに出かけるようにしましょう。

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